300話 後悔しない選択

魔族は森にメイ達が入った事を察知すると、大量の人員と魔法陣を使用しメイの行方を追った。

その隠蔽度は凄まじく、メイの探知をもってしても曖昧な位置しか察知出来なかった。

だが、時間が経つにつれ少しづつ人員と連絡が取り合えなくなっていった。


「あの隠蔽を看破するとは、あの女何者だ?」

「今は女の正体などどうでもいい!今話し合うべき事は計画を早めるか、中止するかだ。」

「所詮は人間のガキ1匹。我らがいればどうとでもなる。」

「クヒヒ、あのバケモノを甘く見ていると、死ぬよ。」

「何だと?人間風情が我らに意見するでないわ!」

「まあ、待て。話を聞かせてもらおうか。」

「いいよ。アイツは数年前に上級魔族を2人倒している。たった1人でだ。それに、様々な術を使い分けている。君たちが専売特許だと思っている暗黒術も使いこなすんだ。」

「暗黒術だと?人間にとって闇の力は猛毒のはずだ。それがナゼ…」

「簡単な事さ。身体の中に闇を取り込んでいるからさ。悪魔がバックにいると見たね。」

「悪魔と契約しているのか?しかし…」

「違う違う。悪魔と融合したんだよ。方法は分からないけどね。」

「悪魔と融合したことで闇に対する耐性をも獲得したということか。」

「そういうこと。アイツには何度も煮え湯を飲まされている。アイツの対処はボクに任せてもらっていいかな。クヒヒ」

「いいだろう。どの道、女に割く人手は無い。」

「悪魔と融合しているとは。正気の沙汰とは思えんがな。」

「まさにバケモノの名にふさわしい。」




カイト視点


「何だか嫌な予感がするぜ。結局、敵のアジトは見つけられなかったな。どんだけ隠れるのが上手いんだよ。」

カイトは時間が無い中で、できる限り調べることに専念したが、アジトや罠などの工作を見つけることが出来なかった。

「基地の中が怪しいとかどう調べろって言うんだよ。」


もし、裏の仕事を辞めるなら、自分は逃げても良いのかもしれない。

そんな考えがカイトの頭をよぎった。

「でも、もし…俺が死んでも、誰かを守ることが出来たのなら。後悔なんかしねえ。…いや、ちょっとはするかも。でも、このまま逃げた方が、目覚めが悪いだろうが。この世界は選択によってできている。なら、俺は少しでも後悔しない方を選ぶ…!」

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