第11話 執政官の苦労
執政官視点
「何!?炎龍が現れた?」
「はい。現在警備隊がバリスタで撃退しようとしています。」
「今すぐ止めさせなさい!炎龍の怒りを買うだけです!」
「ヘイミュート辺境伯軍は精鋭です。問題ないのでは?」
「龍は人間がどうこうできるものではありません。龍は天災と同じです。辺境伯軍は天災を止められるのですか?」
「警戒しすぎですよ執政官様。」
「街を治める者が楽観的ではダメのですよ。」
「今から、攻撃を始めるようですよ。あの龍は、撃ち墜とされるでしょう。」
「そうなれば良いのですがね。」
「な!バリスタが効いていないだと!」
「やはり、無理でしたか。呆然とするな!一人でも多くの人を救うのです!」
「は、はい!」
「この街に住んでいる人間の一割が生き残れば御の字でしょうか。」
ギャオオオォ!
龍の悲鳴だと?何があった?炎龍の背中が抉れているだと!
いったい誰がどうやって?
街の外に炎龍が出て行く。この間に住民の避難を済ませなければ!
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。私たちは街中走り回ってヘトヘトになりながらも避難を進めていた。
その時だった。
ビキッ!?
そんな音が聞こえた。
その音は世界が悲鳴を上げた音のようだと感じた。
音の聞こえてきた方向に目を向けると、炎龍が墜ちていくではないか!
我々の命を救った人物に、礼を言い、報奨金を与えるために、疲れた体にむち打ち炎龍が墜ちた場所へと向かった。
しかし、炎龍を倒したと言ってくるのは、明らかに嘘だと分かるゴロツキばかりだった。
これでも私は人を見る目はあるつもりだが、あんな奴らでは何人集まろうと龍を倒すことはできないということは誰の目にも明らかだろうだろう。
どういうことだ?龍を倒したんだぞ?どうして何も言ってこないんだ?
避難所にいた人に聞き込みをしていると、銀髪の少女が戦っていた。
という情報がいくつも聞こえてきた。
銀髪の少女か...。兵士たちに銀髪の少女を見ていないか聞くと傷だらけの銀髪の少女とその父親を教会に連れて行ったという報告が上がってきた。
私はすぐさま教会へと行き、その少女と面会しようとしたが、少女は眠っていた。
しかし、私はその少女を一目見ただけでその迫力に飲まれてしまいそうになった。
その場にいた少女の父親に動揺を悟られないようにしながら、話をしたが、私の心の中は早く帰りたいと言う気持ちでいっぱいだった。
眠っているだけあの迫力だったなら、起きているならどうなるのだろうか。
起きれば屋敷に来るように言ったが、本当のことを言うと、二度と会いたくない。
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