第3話

「おい! エリン! 『水曜日の男』ってどういう意味だ!?」


 魔法騎士団長子息の伯爵子息ケインが叫ぶ。


「そのままの意味ですけど? その女にとってクイン様は水曜日にHする男ってことです。ちなみにケイン様、あなたは『木曜日の男』ですよ?」


「「 そ、そんなバカな!? 」」


 クインとケインの両方が信じられないという顔をする。


「では伺いますがケイン様、その女と木曜日以外にHしたことがお有りで?」


 そう言われてケインは黙り込んでしまった。それは暗に認めているようなものだ。


「カイン殿下が『月曜日の男』キイン様が『火曜日の男』クイン様が『水曜日の男』ケイン様が『木曜日の男』コイン様が『金曜日の男』と。その女は爵位によって曜日を変えてるみたいですわね」


 淡々とした口調で語るエリンに、それまで黙っていたサーシャが堪らず反論する。


「ウソよ! でたらめよ! 私、そんな端たないことしてないわ! ねぇ! みんなは信じてくれるよね!?」


 そう言ってカイン含め、周りの取り巻き達を見回すが、全員目を逸らした。心当たりがありまくるからだろう。更にエリンの攻撃は続く。


「それとあなた、土日には不特定多数の男とHしてるみたいね? この中にも何人か居るんじゃないかしら?」


 そう言ってエリンが会場を見渡すと、何人かの男子生徒が目を伏せた。


「男の人でも休肝日を設ける人が居るっていうのに、あなたって凄いわね? 1日でも男とHしないと生きられない生物なのかしら? もしかしてサキュバスかなんかなの?」


「酷い! 人を妖怪みたいに! そんなことしてないもん! 私は処女だもん! 清らかな乙女だもん!」


 この時ばかりは本当に涙目になって反論するサーシャだが、


「いやあなた、少なくともケイン様とはHしてたじゃない?」


「し、してないもん! ね? そうよね? ケイン様?」


「あ、あぁ、その通りだ。僕らは清い交際を」


「屋外でHしてましたよね? 体育倉庫の裏で」


 ケインの言い訳をエリンがぶった斬った。


「な、なんのことだか分かんないなぁ...」


 ケインは汗をダラダラ掻きながら見苦しく言い訳を重ねる。


「真っ昼間から青姦を目撃してしまった私は、とても静観することが出来ませんでした」


「「「「 上手い! 座布団一枚! 」」」」


 断罪する側の女性陣から合いの手が入る。


「皆様、ありがとうございます。コホン。ですから私は、たまたまその近くの木にスズメバチが巣を作っていたので、その巣をそっと投げ込みました」


「なにい!? あれはお前の仕業か! ふざけんなよ! あの後どれだけ大変な目に合ったことか...あっ!?」


 語るに落ちるとはまさにこの事である。

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