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 午後からはオリオン座の仕事が待っていた。幸いにもルカとは入れ替わりで、同じ時間を過ごさなくて済む。それでも交代時間に顔を合わせると思うと、足は重く鉛でもぶら下げてるようだ。

 エスカレーターで二階へ上がると、深いため息をついてから入っていく。

「おはようございます、高島さん」

 カウンターに声をかけると、高島さんはせかせかと部屋を出て、俺を捕まえた。

「ああ、よかった。本条くんも来てくれなかったら、帰れないところだったわ」

 ルカの姿はなく、いつもなら俺より早く来ている坂井ちゃんもいなかった。

「今日、ルカ来なかったんですか?」

「そうなの。しばらくお休みさせてくださいって、支配人に電話があってね。まあ、売店は小糸さんにやらせればいいんだけど、カウンターはそうはいかないでしょ。坂井さんも今日は休ませてほしいって言ってきたっていうし、もう心配で心配で」

「休みの理由って聞いてます? ルカの方ですけど」

「詳しくは知らないんだけど、体調がすぐれないとからしいわよ。風邪でも引いたのかしらね」

「そう、ですか……」

 俺は複雑な気分になった。ルカも坂井ちゃんも、休んだ原因はこの俺に他ならない。

「坂井さんは急用らしいけどね。明日は来るって言ってるから」

 とりあえず、ほっとした。坂井ちゃんとも気まずいけど、やめられたらもっと困る。

 高島さんが帰った後、俺はカウンターと売店を任せられた。時々小糸さんも売店の方を手伝ってくれたし、元々月曜の夜はお客の数も少ないから忙しくはなかった。その結果、嫌でも考える時間が生まれて、俺は頭を抱えるか、ため息をつくかを繰り返していた。距離を置きたい。そうルカに言ったけど、それはどのくらいの期間になるのか、自分にも見当がつかなかった。

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