駄作

神の声

「勉強しなさい」

「ちゃんと予習、復習なさい」

「宿題をやりなさい」

「一流の塾に通いなさい」

「書道教室、そろばん塾、英会話教室もいいわね」

「書道で段をとりなさい」

「そろばんで段をとりなさい」

「完璧に英会話できるようになさい」

「今は国際化の時代よ」

「外で友達と遊んでる暇はないの」

「恋愛禁止」

「部活は一切禁止」

「スポーツは一切禁止」

「娯楽番組を観るのは一切禁止」

「教育番組だけ観なさい」

「漫画は一切禁止」

「アニメは一切禁止」

「映画鑑賞は一切禁止」

「バンドなんかくだらないわ」

「ギターは不良が弾くものよ」

「ピアノの先生からピアノを教わりなさい」

「音楽鑑賞はクラシックのみ」

「ゲームなんてもってのほかだわ」

「ネット検索は学問のみ」

「ちゃんとママが監視してるわよ」

「テストは百点満点があたりまえよ」

「首席で卒業すること」

「他人に負けるなんて言語道断」

「毎日勝ち続けなさい」

「勉強しないとお父さんみたいにダメ人間になるわよ」

「将来は東大に合格して、この国の立派な指導者になって頂戴」

　母のプレッシャーに耐えられなくなったぼくは、ついに神の声を聞いた。

「人を殺せ」

　電波やテレパシーの類いではない――これはきっと、神の啓示だ！