第1668話 【エピローグオブ莉子ちゃんの花嫁修業・その6】純白のお洗濯編 ~同時上映・仁香すわぁん赤面編~

 莉子ちゃんが白ビキニを手に取った。

 そして言う。


「教えて、瑠香にゃんちゃん!! 白いビキニの洗い方!!」

「莉子ちゃん! ヤメてぇ!! なんか私、普段から白いビキニで戦ってるヘンタイみたいに思えてくるから!!」


 あまり間違っていないが、多くの野郎にとってはご褒美なので気にしなくとも良いのである。

 仁香すわぁんにはそのままの君でいて欲しい。


「ぽーん。全4ステップで行います。まず、洗濯桶を用意してください」

「ふぇ!? 南雲さん、助けてください!!」


 南雲さんが端末を操作して和泉監察官室に繋いだ。


「こちら南雲上級監察官。土門くんいる?」

『はい。こちら土門佳純Aランク探索員です』


「そっちに洗濯桶ってないかな?」

『ありますよ! 和泉監察官の吐血をすぐに洗えるように! ご入用ですか? じゃあ持って行きますね!!』


 2分後に佳純さんが来た。

 大げさな洗濯桶をにもつ背負って来た。

 始めようか莉子ちゃん観測。ほうき星を探して。


「大きいな……」

「大は小を兼ねますので! あれ? 莉子ちゃんに小鳩ちゃん、瑠香にゃんちゃんも。仁香さんのビキニを睨んで、皆してなにしてるの?」


 瑠香にゃんが『瑠香にゃんアナウンス』で佳純さんにも花嫁修業検定について説明。

 一方、仁香さんは「なんかみんなが私のビキニ見てる!! いつもは羞恥心とか感じないけど……!! これはなんか嫌だ!! 失敗した! 失敗したよ、私!!」と悶えていた。


 みんなが莉子ちゃんのために力を貸してくれる。

 なんと感動的な光景だろうか。


「瑠香にゃんちゃん! 洗濯桶ゲットしました!!」

「ぽーん。ステップ1。まずは水で押し洗いをします。ブラの形が崩れないように気を付けてください」


「はいっ! よいしょ! よいしょっと!! あ、なんか白いのが出て来ました!! ……ミルク?」

「ちがっ! 違うからね!? それ、直近だとリングヒルダンジョンの攻略で着てるから!! 逆神くんたちと行った!! っていうか、小鳩ちゃんと瑠香にゃんちゃんも一緒だったでしょ!? タコ助の体液の色ですぅ!!」


 瑠香にゃんに「汚れがなかなか落ちません!!」と報告するとステップ2が告げられる。


「ぽーん。中性洗剤を用いて、さらに押し洗いをします」

「はいっ!! よいしょ、よいしょ!! あ、白いのが出なくなってきたぁ!!」


「ぽーん。ステップ3。乾いたタオルで水気を取ります」

「南雲さん! タオル貸してください!!」

「申し訳ないけど、お断りさせてもらうからね、私!! 女子の水着を拭ける聖なるタオルはうちの監察官室にないよ!!」


「あ。私の私物で良かったら。正春さんがいつ血を吐いても良いように清潔なタオルを持ち歩いているので!!」

「ありがとうございますっ! 佳純さん!! しっかり拭きます!! あ、なんかいい匂いがする!!」


 仁香すわぁんが珍しく狼狽えながら「嗅がないで!!」と叫んでいるが、今は静謐な花嫁修業検定中。

 残念ながら小鳩さんに「辛抱なさってくださいまし!!」と羽交い絞めにされる。

 体術特化の仁香さんを抑え込める小鳩さん。


 さては夜の体術でホールド系のスキルアップをキメたのか。


「ぽーん。ステップ4。ハンガーなどで形を整えて、陰干しします」

「はい!! ここをこうして、こう!! じゃあ、南雲さん! お部屋に干しますね!!」



「えっ!?」

「あぅ……」


 翌日、白ビキニが完全に乾くまで仁香さんが南雲上級監察官室の門番をしたというのは余談である。



「よぉし! あとはチャイナドレス!! 瑠香にゃんちゃん……あ、待って!! 洗濯表示が付いてる!!」


 チャイナドレス装備には「洗濯機で弱い洗濯処理可」のマークが。

 本来のシルクやベルベット素材で作られているチャイナドレスはドライクリーニングに出すのが正解だが、こちらは探索員装備。

 イドクロア製の耐火仕様。洗濯機でもイケる。

 水戸くんが仕様書を作ったにしては親切設計である。


「南雲さん! シャワー室の洗濯機って使って良いですよね?」

「もちろん使ってくれていいよ。あれ、君たち女子探索員用の備品だから。青山くん。ちょっと一緒に物干しスペース作ろうか。多分チャイナドレスも干すんだろうし」


「ご迷惑をおかけします……。軽い気持ちで協力するなんて言うんじゃなかったです……」

「分かる。すごく分かるなぁ、その気持ち。こっちの想定している善意を飛び越えて行くんだよね、チーム莉子のみんなって」


 南雲さんと仁香さんの監察官コンビがソファを持ち上げて移動させ始めた。

 物の少ない南雲上級監察官室でも、洗濯物を部屋干しするスペースはないのだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 莉子ちゃんが腕まくりして洗濯機の前へ。

 瑠香にゃんナビは聞かずに洗濯ネットを手に取った。


「洗濯表示があるなら独りで大丈夫!! 全部瑠香にゃんちゃんに聞いてたら、お洗濯マスターした事にならないもんっ!!」

「プリンセスマスター。ステータス『意外と普通に良いお嫁さんになれるかもしれん』を獲得しました。差し上げたいのですがちょっと時期尚早な感もあるのでとりあえず瑠香にゃんのおっぱいに格納します」


 チャイナドレスを裏返して。洗濯ネットにイン。

 続けてオシャレ着用洗剤を適量、洗濯機に投入。

 そして洗濯機を弱水流モードにしてボタンをポチる。


「おおー。手際がいいね! 莉子ちゃん!! これなら逆神くんも安心だね!」

「も、もぉぉぉ! 佳純さんってばぁ!! おだててもおっぱい出ませんよ? わたし!! 洗濯機なら毎日使っているので大丈夫です!」


 お忘れの方のための大学生リコリコ情報。

 莉子ちゃんはオシャレ大学生になったので、オシャレ着洗いに関しては一般人よりも高水準に到達している。

 特に六駆くんからプレゼントされた服などは初めての洗濯前に洗濯表示を1つ残らず調べてから敢行しているので、記憶力の良い彼女の洗濯経験値は増える一方。


「私も血で汚れた服のお洗濯だったらアドバイスできるんだけどなぁ」

「んー。うちの六駆くんはなかなか血って出さないかもです。鼻血も出したところ見た事ないですもん」


 佳純さんと雑談していたら洗濯機が「おいロリ子、洗濯終わったでな! ぶーっははははははは!!」とブザーを鳴らす。


「あ。これも陰干しなんだ。じゃあ、仁香さんの水着の隣にハンガーで吊るして!!」

「……すみませんでした。南雲さん。なんだか私のコスプレ衣装展示会みたいにしちゃって。責任取っておっぱい見せれば良いですか?」


「うん。青山くんは混乱しているようだね。ヤメなさい? 私、水戸くんじゃないよ? 妻と子供がいるんだ。そのおっぱい発言だけで私を殺してお釣りがくるよ? 塚地くん!! 早くジャッジしてあげて!! 青山くんが珍しく顔真っ赤だから!!」


 腕組み教官モードの小鳩さんが言う。


「瑠香にゃんさん!! お願いしますわ!!」

「ぽーん。瑠香にゃんジャッジを始めます。まずは瑠香にゃんサーチで汚れの検知をスタート。終了しました。洗い残しの汚れ、8パーセント。一般家庭のお洗濯では充分と判断。破損、縮みの確認も完了しました。問題ありません。おめでとうございます。プリンセスマスター。花嫁修業検定4級に昇級です」


「やったぁー!! ありがとうございましたっ! 皆さん!! おかげでわたし、今日だけで4級まで来ちゃいました!! この調子で1級お嫁さんになるぞー!! おー!!」

「わー!! 頑張って! 莉子ちゃん!! 私もできる事があればー!!」


 南雲さんと仁香さんが「あっ」と同時に呟いた。

 そして顔を合わせて同じ感想を言い合う。


「青山くん。これは……?」

「はい。佳純ちゃんにバトンを渡せた気がします!」


 激闘に次ぐ激闘を駆け抜けた1日が終わる。

 魔王城へ戻って、新たな勝負のために英気を養うのだ。

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