第1534話 【エピローグオブ人工島デルタウェア建造・その1】ストウェアよりでっかくてスゴイ移動要塞を造るんや!! ~全面協力・バルリテロリ~

 ネオ国際探索員協会・ちち

 正式発足は年の瀬と決められており、今はその準備に大忙しな総理事・南雲修一と筆頭理事・川端一真の両名。

 南雲さんが日本本部でラルクメドレーを若手探索員たちに披露している間に、川端さんはネオ国協の本部となる人工島デルタウェアの設計図をフランスで完成させていた。


 何故だか分からないが、こちらに未来の情報がある。


 人工島デルタウェアでは現世の職員、ネオ国協所属の探索員、そして異世界人、およびその家族などが生活できる面積が必要であり、既に存在しておりデルタウェアにもその技術が転用される人工島ストウェアよりもはるかに巨大な建造物となる事がもう確定している。

 何故なのかは分からないが、未来の予定で決まっている。


 普通に考えれば、現時点で11月の第2週であることを踏まえて1ヶ月とそこらでそんな巨大建造物を仕上げるなんて無茶である。

 よっぽど杜撰な工事でも多分無理である。

 だが、我々にはスキルがある。構築スキルがある。


 とりあえず土台となる人工島の部分を造り上げておけば、その上に乗っける本部施設だったり居住エリアだったり探索員の隊舎だったりはちょっとずつこっそり造り足していけばいい。

 国道沿いにたくさん並んでいるコンビニのようなものである。

 「あれ!? ここにあったコンビニ潰れてる!?」ということもあれば逆に「あれ!? こんなところにコンビニあった!?」ということもある。

 存外、工事している時に人は気にも留めないもの。


 そこで人工島デルタウェアの土台である。

 現世でそんなデカいものを造っていたら色々と面倒なので、こういう時は同盟国である異世界に協力を要請するに限る。


 おわかりいただけただろうか。


 構築スキルの異世界と言えば。

 かつて、割と最近、ちょっとした軍事拠点である空飛ぶ浮島をいくつも構築なされて、それを現世にぶっこんだ挙句の果てには南極海のペンギンさんやアザラシさんに多大なご迷惑をおかけし、日本本部を半壊させ、呉のばあちゃんズにお正月のエンターテインメントを提供した御方が統べる国がある。


「ぶーっはははははははは!! よく来たな、白衣!! あとは何回か見かけたことあるけどそんなに喋ったことないオールバック!! ワシが力貸してやるとか相当やぞ!! 感謝しろ!! そして平伏すが良い!! ぶーっは」

「ほっほっほ。制裁しますかの」



「ぶーっははははぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 違うや、四郎!! 今のは挨拶やんな!? こういう流れでバルリテロリでは始めてくださいみたいなアレがあるやんけ!? 空気読んだだけやんか!? 許してくれ!! ワシ、今回はやる気満々マンやで!? その証拠に作業は現世でやろうとか言うとらんやろ!? 現世になんかもう興味ないんや!!」


 お久しゅうございます、喜三太陛下。

 御壮健なご様子、何よりにございます。



 人工島デルタウェアの建造には四郎じいちゃんも協力する。

 色々あって、主に未来行ったり過去に行ったりしていたせいで諸君はお忘れかもしれないが、四郎じいちゃんもネオ国協の理事。

 南雲さんが要請すれば二つ返事キメるのは道理。


 そしてバルリテロリ駐在武官でもあるため、必然的に建造の地もこのバルリテロリということになる。

 ならば構築スキルにおいて六駆くんをもしのぐ、現世異世界含めて最たる御力を誇示されておられる喜三太陛下にも御参加いただかない理由がない。


「四郎殿下。宸襟を騒がせ奉り恐縮にございます。よろしゅうございますか」


 テレホマンがやって来て、四郎じいちゃんの前に跪いた。

 喜三太陛下は「久しぶりにワシの宸襟も騒がせ奉って欲しい」と思われたが、口には出さなかった。

 学習する男。喜三太陛下。

 これは逆神家奇数代でも5と3の差がつき始めたか。


「ほっほっほ。まったくテレホマンさんは仰々しくて敵いませんな」

「ははっ。御許しくださいませ!!」


「いかがされましたかの?」

「はっ。デルタウェアのためにバルリテロリの軍港を全て綺麗サッパリ片付けました由にございますれば!! ちょっとした島程度の規模でしたらそちらで建造作業が全て済むように致しましてございます!」


「えっ!? テレホマン!? ワシの軍港は!?」

「は? ……ははっ。陛下。御許しを得て申し上げます」


「ちょっと待て! まず軍港を壊すとか許しとらんで!? ワシぃ!!」

「はっ。陛下。軍港などもはやバルリテロリには必要のないものかと。デルタウェアが完成のあかつきには跡地をデルタウェア記念館として海浜公園にいたしますれば。陛下の御心の広さを臣民はまたしても思い知らされることでしょう」


「おいぃぃ!! ワシの水陸兼用モビルスーツとかどうしたんや!? 四郎に見つからんようこっそり創っとったヤツぅ!! ……はっ!?」

「ほっほっほ」



「……………………バルリテロリは現世の探索員に優しい国やで!! さあ! 軍港行くか!! ついて来いや、白衣とオールバック!! ワシが案内してやるでな!!」


 四郎じいちゃんによる父親の再教育が順調の模様。

 息子よりも見所がありそうである。



 国賓扱いの南雲さんと川端さんはテレホマンが換装してフライングテレホマンになってから跪き「どうぞ。私の背にお乗りください」と言うので、その厚意を固辞した。

 あくまでも同盟国であるバルリテロリ。

 特にテレホマンの背を踏みつけるなんてとんでもない。


 この得難き忠臣がいなければ、バルリテロリなんてとっくに記録から消えて記憶の中でだけ存在する異世界になっていたというのに。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 そんな訳でやって来た、バルリテロリ軍港跡地。

 改め、デルタウェア建造所。


「これは……。わざわざ我々の世界のためにここまでやって頂いて本当に恐縮です」

「驚きましたな。今すぐにでも作業が始められそうだ」


 テレホマンを筆頭に電脳ラボのメンバーがやってくれました。

 これから軍港跡地でシムシティ始めてあっちにアレを置いてこっちにナニしてとやっていては数日が、いやさ1週間、もっとかもしれない時間が浪費される。


 お料理コーナーの「今日はこちらに完成したものがございます」を建造所でキメてくれた電脳ラボ。

 既に構築スキル使いも100と余名ほど待機済みであり、その陣頭指揮を執られる偉大なる為政者喜三太陛下も「四郎!! ワシ、頑張るでな!!」とメンタルは上々。


「こちらで用意して来た設計図があるので、喜三太さんにも見て頂きたいんですよ。なにせ戦争の際にはあの浮島に散々苦しめられましたからね」

「白衣ぃぃ! いや南雲ぉぉ!! その話は今ヤメよう? なっ!? ほれ、見せてみ? ワシが忌憚なき意見くれてやるでな!!」


 川端さんが設計図を喜三太陛下に手渡した。

 それを広げて「ほーん」と顎に手を当て思案顔の陛下。


「言うてもええけ?」

「お願いします」


「四郎。怒らんけ?」

「ほっほっほ。正しいことを行使する際に横槍を入れるほどワシは耄碌しとりませんわ」


 ならばと喜三太陛下が仰せになられた。


「これ、イドクロア使うつもりみたいやけどな? 強度が全然やで? そらただ海に浮かべて居住区にするだけならこれで充分やろうけども。仮にも軍事拠点やろ? こんなん、海中から煌気オーラ砲でもキメられたら消し飛ぶやんけ。アホやなぁ。もっと硬いイドクロア用意せんと、話にならんで? なぁ四郎、アホやなこいつらぁ!! ……アホは言い過ぎましたぁ!! 許してくれぇぇ!!」


 デルタウェア建造。

 その初手で軽く躓く。


 現世の想定では強度が足りない。

 直近で戦争キメてた相手国の言うことなので、信憑性も極めて高い。


 困ったことになった。


「どこかのダンジョンでカッチカチのイドクロア拾って来たら、ワシらが増やすでな」

「どうしますか、南雲さん」

「うちのチームにお願いしてみましょうか」


 来るか。

 久しぶりのダンジョン探索。

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