第1460話 【エピローグオブ六駆と莉子のおフランス・その3】夕食会という名の戦い

 ナディア・ルクレール上級監察官のお宅。

 オール電化ならぬ、オール煌気オーラ住宅にもなるフランス探索員協会の試作を兼ねた家である。

 これはストウェアから着想を得たナディアさんが「ねー。川端さーん? わたしの家で実験しましょうよー。川端さんの煌気オーラ爆発バースト、わたし好きだなー」と軽くおっぱいを寄せたところ、2ヶ月で完成した。


 有事の際にはスキル使いの煌気オーラで家具家電が稼働するという優れもの。

 有事じゃなくてもスキル使いの煌気オーラで家具家電は稼働するので、煌気オーラコントロールの練度が上昇すればソファに寝転がったままテレビのチャンネルを変える事だって可能だし、エアコンの温度調整だって思うがまま。

 この試作が上手くいけばネオ国協の本部にも取り付けられる予定なので、割と大事なお試し期間中なのである。


 川端さんちはナディアさんちの隣に建っている。おっぱいを弾いたら来てくれる有能な動力源かわばたさん

 そしてフランス観光を切り上げて来た六駆くんと莉子ちゃんを連れて、川端さんが愛するおっぱいの待つ家へと舞い戻った。


「ナディアさん。急遽だが、フランス料理のコースを作ることになった。1時間半ほど頂けるだろうか」

「いいですよー」


 大抵の事は「いいですか?」「いいですよー」で済む、川端ンヌとナディアさんの会話。

 こんなもん一緒にいてクソ楽であり、同時にクソ興奮する。

 これを理想的なパートナーであると川端さんは後方腕組み納得面で頷く。


「さて。それでは逆神くんと小坂さんはくつろいでいてくれ。道すがら良いラム肉が手に入って良かった。とりあえず一頭捌くから、ちょっと外で済ませて来よう」


 六駆くんがソファから立ち上がった。


「川端さん!! 僕も手伝いますよ!!」

「そうか。逆神くんは料理もできたのか。心強いな」


 川端さんはお料理男子。

 なにせ日本本部時代は単身赴任が日常だった。

 節約できるところは突き詰めて、おっぱいに対して誠心誠意散財する。

 これが正しいちちどう


「おー。逆神くんもお料理できるんですねー。莉子さん、これは彼女さんとして嬉しいのではー?」

「えへへへへへへへ! 実はお料理してる六駆くんを見るのって初めてなんですよぉ!! わたしもビックリです!!」


 川端さんがほとんど一瞬でラムちゃんをラム肉に解体して戻って来た。

 この手際の良さから逆算すると、軽く十人前くらいの分量はフルコースが並びそうに思えて六駆くんは戦慄した。

 彼は戦闘民族だが、天下一武道会の前に食堂を占有してガツガツモグモグするサイヤ人のように胃袋は丈夫でない。


 むしろ胃腸は逆神六駆にとって唯一とも呼べる弱点。

 彼は立ち上がった。

 彼女のために。

 なにより自分のために。


「では逆神くん。そこのパプリカをみじん切りにしてくれるか」

「分かりました!! ふぅぅぅぅん!!」


「逆神くん」

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」


「逆神くん」

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」



「逆神くん。なぜふぅぅぅぅんするんだい? 私は南雲さんではないぞ?」


 君が無茶苦茶やって全部を受け止められるのはネオ国協の総理事だけだぞと、川端さんは六駆くんを諭した。



 六駆くんは話した。

 「もうお腹いっぱいなんです……」と。


 だから「とりあえずこの家を爆発させて、爆発オチでどうにか乗り切ろうと思って」と神妙な顔で続けた。

 川端さんは応じる。


 「ヤメてくれ。私のおっぱい保護の矜持に関わる。ナディアさんのシャワールームを侵す事は相手が君とて看過できんぞ」と。

 六駆くんは食いがる。


 「じゃあ僕もおっぱい出すので、これで勘弁してください」と。

 川端さんが強く応じる。



「それはいらない」

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」


 ナディさんちのオール煌気オーラ住宅。それを20年分は余裕で賄えるほどの煌気オーラがチャージされたという。



 残念ながら、ストウェアの技術を転用したナディアさんちの耐久値が高かった。

 そして六駆くんもさすがに手加減したので、残念ながら爆発オチへは分岐せず。


「逆神くん。小坂さんに言ったらどうかね。シチューが食べたいと」

「えっ!? ……いいんですか!? そんなこと言って!? だって莉子、モグモグしたくて堪らないんですよ!?」


「いや、逆神くん。小坂さんはモグモグするのも好きかもしれないが、それよりも君の方が好きだろう」

「えっ!?」



「えっ!?」

「えっ!?」


 今はもう覚醒ハイパーアルティメット莉子ちゃんなので圧倒的大差で六駆くんの方が好きである。安心して欲しい。自信を持って、我らが主人公。



 それから六駆くんは正直に「莉子……。ごめんね。実は僕、お腹空いてないんだ」と告白した。


「ふぇ? そうなの? じゃあ軽く食べるだけでいいよー?」

「川端さん!! 見てくださいよ、うちの莉子!! 世界で最高の彼女だと思いませんか!? 可愛いし! 優しいし!! モグモグしてるとこはすごく可愛いし!!」


「も、もぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」


 ナディアさんちのオール煌気オーラ住宅の充電器がいくつかぶっ壊れた。

 急にそんなこと言う六駆くんが悪い。

 そりゃあ莉子ちゃんだって煌気オーラのお漏らしくらいする。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 その後、六駆くんが『時間超越陣オクロック』でナディアさんの家を復元している間に川端さんは自宅でラム肉のシチューを仕上げて戻って来た。

 いつから究極スキルはこんなに気軽な発現をされるようになったのだろうか。

 割と最近のことではない気がして、世界はいささか背筋を冷やす。


「さあ。お口に合うと良いが。おっぱいシチューだ」

「ほわぁー!! 美味しそう!! いただきまふ!! モグモグモグモグ……。おいひい!!」


「川端さん。半年前だったら今、死んでましたよ。僕だって躊躇する名前をメニューに付けるなんて……! 僕、川端さんの事を過小評価していました!!」

「ふふっ。そうか。なにせ毎日ナディアさんのブラジャーは私が手洗いしているからな。おっぱいなら出すのも隠すのも守るのも任せてくれ」


「あー。また煌気オーラでミルク出してシチューに入れましたねー? 川端さーん? それ、よそではやっちゃダメって言ってるじゃないですかー。嫌いになりますよー?」



「さあ。食事は終わりだ。これから私がミルクバーカウンターで新鮮なミルクセーキを作って差し上げよう。シチューの事は忘れてくれ。もう会う事もないだろう」


 この世界では女性のパワーおっぱいが強くて大きくて柔らかくなりがちである。



 それから川端さんが厳選した牛乳でミルクセーキを作り、3人に振る舞った。

 お忘れの方のための川端卿の得意スキル。

 極大スキル『断崖集気弾だんがいしゅうきだん乳房ちぶさ』ばかりに目がいきがちだが、こちらの男爵の得意属性は水と凍結。


 スキル使ったお料理なんてお手の物。

 ダンジョンに潜っていた時代の六駆くんもモンスターを狩って調理していたが、彼は焼いて調味料をぶっかけるだけ。

 冷やしたり熱したり溶かしたり、その全てができる川端ンヌシェフはダンジョン攻略においても有能な人材。


 ネオ国協の筆頭理事に推されるのも納得の実力である。


「あのあの! ナディアさんって川端さんと結婚しないんですか!?」

「んー。わたしはいつでもプロポーズ受ける用意はあるんですけどねー。川端さんは守るおっぱいが多いですからねー」


 川端さんの眉間にしわが寄った。

 ナディアさんが察する。


「あ。おっぱい警ら隊の出番ですかー?」

「すみません。少しばかり席を外します。おっぱいから涙が零れる音がした……!!」


 次回。

 楽しかったおフランス。


 結局おっぱいオチなのか。

 それはブラジャーを捲ってみるまで分からない。

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