つきのうさぎ
つきのうさぎ
教室は心痛むほど明るくて、賑やかだった。
ここにいる子供たちは、自分がどうしてここに居るのかも、まだ何も知らない。
運命という檻に囚われた、あの寓話に出てくる小鳥のように。
不意に、
私の考えていることを全部わかって、だからこそ彼は、今日の
夜空を見上げて、こう思ったことはないかい、と。
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「皆は、夜空を見上げて、こう思ったことはないかい?」
「どうして月にうさぎがいるのかって」
「え、なになに?」
「本当は月にうさぎなんていない?」
「はは、君たちはずいぶんと夢の無いことを言うんだね」
「でもさ」
「月のうさぎが居たらって妄想するのも楽しいと思うよ」
「耳の飛び出た宇宙服を着て暮らしてるのかな......とか」
「つきたてのお餅に、ニンジンをトッピングしたりするのかな......とか」
「ほら、面白くなってきたでしょ?」
「よし。じゃあ今日は、自分なりの、つきのうさぎを描いてみることにしようか」
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「やあ、初めまして」
「......おーい、聞いてる?」
「そうそう、画面の前のキミだよ」
「物語が始まる前に、キミだけに教えてあげたい事があるんだ」
「あの子たちには言わなかったけど」
「実は、
「ふふ、驚いた?」
「これはボクたちだけが知ってる真実」
「......ってちょっとちょっと!!」
「そんなに怪訝な顔をしないでよ」
「ま、論より証拠」
「これから君に見てもらうのは、自己犠牲に生きる心優しい......」
「
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