第390話あれ程の力を持っているとすれば尚更
「命令は三つだ。俺の国に様々な方法もってしても攻め込まない事、俺の仲間にも同じく攻撃を仕掛けない事、そして最後は目覚めが悪いからこの戦いが理由で死ぬんじゃないぞ? どうせ死ぬなら俺が関係無い事にしてくれ」
「………え? それだけで良いのか……?」
「なんだ? もっと命令して欲しいのか?」
「いやいやいやっ!! そんな性癖は持っていない! そうじゃなくてだなっ!! ………あーもうっ!」
クロ・フリートに隷属させられ何を要求されるか怯えていたのだがクロ・フリートの口から出た言葉は実に呆気なく、思わず声に出してしまっていた。
隷属させたのならば奴隷、それが男性なら力仕事を、女性なら性奴隷が一般的であろう。
にも関わらず目の前のクロ・フリートはその命令をするどころかむしろ要約すれば『自分達に危害を加えるな』である。
であるならば熾天使まで召喚できた私を目の届く所に起き、自慢では無いが私の容姿からすれば性奴隷にするのが一番安全かつ一般的な考えかつ欲望であろう。
私を使って国を支配するという線は無いだろ。
間違い無く今回の件以降私の権限は無いに等しくなる事はバカでも分かる事であるし、そんなめんどくさい事をするぐらいなら攻め込んだ方が早いであろう。
「隷属された私が言うのもなんだが……何故私を目の届く所に起き、性奴隷などにしないんだ? そっちの方がどう考えても安全であるし肉欲も発散出来るだろ?」
そして気が付いたら疑問に思った事を口にした。
はっきり言って相手が何を考えているのか分からない行動は不気味である。
それがあれ程の力を持っているとすれば尚更である。
「国の頭を性奴隷として側に置く……そんな事をすればお前の国との間に遺恨が出来かねん。その場合、のちにスーワラ聖教国と表向き良好になったとしても何十年と付き纏う。やれ賠償しろ、謝罪しろ、悪いと思っていないのか? ……と。俺がいた世界はそうだった」
「ならば我がスーワラ聖教国をその圧倒的なまでの力で奪えば良かろう?」
「貴国の国民が我が国民であると誇りを持てるまで余りにも時間がかかる。そもそも宗教も価値観も違う上に魔族は悪であるという常識すらあり、国家転覆を狙う者は間違い無く出てくる。わざわざ藪を突き蛇を出す理由も無いだろうし、俺の住んでた世界の某大国の様に皆殺しという策は非人道的過ぎて取りたくも無い」
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