第377話課金キャラクター

 その様子は奢る事を辞めた圧倒的強者の雰囲気がそこにはあった。


「ではこれよりあの憎きクロ・フリート及びグルドニアへの対策を考えようではないか」


 そして聖教国は着々と国落としの戦略会議と準備を始めるのであった。



◇◆◆◇



「クロ・フリート様、スーワラ聖教国の者と思われる軍隊がこちらに進軍しているようなのですが……どのように致しましょうか?」


 黒を基調とした和服の上にエプロンを羽織った元NPCキャラクターが洗礼された動きでクロに告げる。


 このキャラクターはゲーム内でクロが運営していたイベントアイテムを建築する場所であるタウンや保管する倉庫等に配置されていた課金キャラクターである。


 このキャラクターの総数により建築時間や建築出きる建物の数、アイテムを保管出きる総数が変わってくる為かなりの人数を購入しており最終的に総数132名もの人数を購入していた。


 そしてここまでの数購入したもう一つの要因として購入したキャラクターを自らの手でカスタマイズ出きるという特典もあり、イベントも消化してやる事も無い暇な時間を見つけてはキャラクターを購入し、理想の従者を作っていた事も大きいだろう。


 またこのキャラクターは購入の際執事かメイドか選べるのだが無論全てメイドを選択している。


その選択に後悔はしていない。


 そしてそのメイドがスーワラ聖教国の軍がグルドニア王国に向けて進軍して来たと言うのだ。


 捕虜として捉えた勇者一行がクロを見て怯えきってしまった為に癒しの魔術を駆使して落ち着かせひと段落したと思えばこれである。


 今現在他にも他国の要人などが別の部屋で待たしている状況でもある為に今来なくてもと思ってしまう。


 しかしこのグルドニア王国とスーワラ聖教国は忘れがちではあるものの戦争の真っ只中である為に仕方の無い事と言えば仕方の無い事である為にクロは深い溜息と共に重い腰を上げる。


「俺が自ら出向く。ゲートを開くからセバスチャンを先に行かせてくれ」

「畏まりました」


 はっきり言えば国の運営なんかやりたくもないしましてや国王などというポジションは真っ平御免被りたいのだが最早そうも言ってられない所まで来ている為に無視出きるものでもないだろう。


 また、前回、前々回とセバスチャン達に国防の為とはいえ戦闘させ、さらにセバスチャンは重症を負っているのである。

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