第340話久し振りに血肉沸く思い
「胸をお借りさせて頂き、失礼のない全力でお相手させて頂きます!」
「この世界で武者修行と題し旅をして来たが今の所満足行く相手に出会えてなくての、久し振りに血肉沸く思いであるぞ、主人よ」
「まあほどほどにな」
そしてクロは銅貨を親指で弾き真上に飛ばす。
その行為が何を意味するか分からない者はこの場にはいない。
銅貨が地面に落ちる僅かの合間にクロは装備一式を一新させ、銅貨が地面に落ちると同時に居合一線飛ばし一気に後退する。
今まで散々バハムートの、主人の自慢話もとい英雄譚を聞かされてきたスフィア・エドワーズはその話を元にクロ・フリートと言う人物の戦い方を思い描いてきた。
バハムートの語る英雄譚はどれも心踊りまるでお伽話の主人公か何かではないのでは?と思えるほどの内容ばかりで耳を疑うような物だったのだが、バハムートはまるで見てきたかの様に詳細に細部まで詳しく語ってくれるのですんなりとイメージは思い浮かべる事が出来た。
もしノクタスのあの一戦を見ていなければ、どれも信じる事はできなかったであろう。
そしてバハムートが語る英雄譚を元にイメージしたクロは戦いの組み立てが天才的であり戦いが長引けば長引くほどクロ・フリートのペースに持ち込まれその分勝率も下がっていくだろう。
ならば先手必勝開幕時から攻め一気に勝ちに行く戦法が最も勝率が高まる戦い方と言えるだろう。
その考えは正しく対処法も間違ってはいなかったのだが、クロの戦闘タイプはどちらかと言うと遠距離中心である事と開幕時のお互いの距離まで深く考えていなかった。
いや、考えてはいたのだがクロ・フリート程のレベルの者との対戦経験が余りにも少な過ぎるのはどうしようもない事であろう。
開幕時勢い良く飛び出し自分が持つ最速のスキルを放つのだが、クロはまるでスフィア・エドワーズの行動を読んでいたかの如く一気に後退をし、更に斬撃を先程までクロ・フリートがいた場所に設置していた。
「なっ!? ぐう……っ」
クロの様に遠距離タイプは先程の様にお互い距離が近い場所から開幕しなければならない場合、基本的には開始直後後退するか相手の初手を絞りカウンター狙うか防御に回るかの二択が多い。
たまに虚を突いて初手で攻める時もあるのだが、それはある程度自分の戦闘パターンを読まれた相手に出すぐらいだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます