第309話え? 竜種を使役しない召喚師なんているのですか?
それもそのはずでこの魔鳥ジズはしっかりとパーティーを組んだ状態で卵採取依頼のランクがA、討伐依頼のランクがSなのである。
その為あの化け物の恐ろしさを理解している冒険者達はただ傍観するのではなく瞬時に逃げる若しくは防御系魔術またはスキルを瞬時に展開出来る様にし、いつ目の前の化け物が暴れても大丈夫な様に身構えている。
その中でも先程イルミナを脅迫まがいな事をしていた者達は今まで脅していた相手がとんでもない実力者だと分かると顔から血の気が無くなり、その手足は恐怖で震え出していた。
しかしその冒険者達は恐れと共に羨望の眼差しも向けていた。
「か、カッコいいですね!」
その理由に目の前のジズが兎に角カッコいいのである。
イルミナが召喚したジズは猛禽類特有な鋭い視線やくちばしや鍵爪、全身を茶色い羽毛で覆われておりそのフォルムだけでもカッコいいと言えるのだが、ジズ全身に施されている装備、白銀の鎧を纏う事により更にそのカッコ良さに拍車がかっているのである。
その白銀の鎧を全身に纏っているジズはもはや神々しく思え、神の使いと言われても信じてしまうだろう。
「でしょう? この装備はジズであるコッコちゃんと契約を結んだ記念にクロ様から頂いた物なのです! はあぁ……何度見ても見飽きない美しさです! ………んんっ、コッコちゃん用ではないのですが、この運搬用の竜籠に私達は乗ってコッコちゃんに運んでもらうんです」
自分が使役する魔鳥を褒められ一瞬ニヤケるイルミナなのだがすぐさま気持ちを落ち着かせると今度は小さな家の様な箱をジズ同様懐から出したカードで出し、これに乗って行くのだと説明しだす。
確かによく見ると家の様な箱の屋根の部分に巨大な取っ手の様な物が突き出ているのが見える。
どうやらあれをコッコちゃんが掴み、運んで行くのだろう。
しかし私は先程の説明に聞き逃せない単語が聞こえてきた事で変な汗が身体中から噴き出し始めている。
後ろから同僚が「ラーベル汁がやべえ……」と言っているのが聞こえてくるのだがそれどころではない。後で殴りはするが今は無理だ。
「あの……イルミナさん」
「何でしょう?」
「先程この籠をコッコちゃん用ではない竜籠と仰ったのですが、まさか竜も使役しているのですか?」
「え? 竜種を使役しない召喚師なんているのですか?」
「あ、はい」
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