第267話キスのひとつやふたつ
彼女というストッパーがある状況でこれなのでもし居なければキスのひとつやふたつはとっくのうちに奪われていただろう。
大会で負けたってのが想像以上に彼女達を追い詰めているんだろうな……。
そう思うものの実は既に次に行く行き先は決まっている為クロとしては彼女達の願いを叶えてやりたいのだが彼女達の故郷に行く事は無理そうである。
「レニア達の故郷に行ってみたい気持ちは無いわけじゃないんだけど実はサラの母親でもあるアンナ・ヴィステンさんに次に行く街を決めて頂いているからそっちに行こうと思っている。すまんな」
もちろんそれは強制ではない為アンナさんに勧められた街へ行くのをやめてレニア達の故郷へ行く事にしても良いのだろうが、現在クロに依存しかけているであろうレニア達にはクロから少し離してやるのも彼女達の為なんじゃないかという想いも少なからずあったりする。
「いえ、私達もあわよくばとしか思っていなかったので…」
「お師匠様の考えがあるのならばそれを無下にはできませんものね」
「彼女ではないにもかかわらず図々しいですしね…」
クロに断られて先ほどまでの勢いは鳴りを潜め一気にしおらしくなって行くレニア達。
結局今までのノリは負けたという事実を考えないようにする為の空元気だったのだろうレニア達はしおらしくなるどころでは止まらず三人で部屋の隅まで移動すると暗いオーラを撒き散らし始める。
「まったくお前らは……なんでそこまで落ち込む必要があるんだ?二位だって凄い事じゃないか」
想像以上に落ち込んでいる彼女達を慰める為にクロはレニア達のところに向かい一人一人頭を撫でながら優しく語りかけて行く。
クロ自身ゲーム内での魔王決定戦のトーナメントでは優勝できたものの全職参加型の大会では優勝どころか決勝まで行けた事がないのだ。
そしてレニア達はベルホルンの学生という縛りはあるものの、全職全種族の参加が認められた大会で決勝まで行けたのだ。
それはもう悲しむどころか十分誇っても良い物であると共に決勝まで上り詰めたレニア達の講師をできて誇りに思うクロはその事を包み隠さずレニア達に話し始める。
「え?クロっていつも人間に負けてたんですか!?亜人や獣人でも無く!?」
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