第235話ほら、私ってMだからさー

 サラはそう自分の中で答えを導き出すと先程まで顔面蒼白だった顔にも血色が戻り、側に置いてある果実酒の入ったグラスを一口口に含みコクリと飲み込む事により落ち着きを取り戻し緊張も和らげる。


「サラとターニャはクロさんとアルさんが男女の関係を何度か持っている事は知ってなかったの?」


 和らげると思った矢先私の左隣りに座って、テーブルに置かれた酒の肴である食べやすくカットされている干し肉を別に頼んだサラダと一緒に食べながらキンバリーはサラッと爆弾を放り投げて来る。


「わ、笑えない冗談ね」

「ソソソソソウデスヨ」


 そしてキンバリーの放り投げてきた爆弾に私とターニャが隠しきれない動揺を見せる。


 頭ではそれが当たり前だということは理解できていても心がそれに追いついて来ない。


「流石に犬の獣人には分かっちまうか」

「まあね。たまにアルとクロ、互いから互いの発情した臭いが染み付き匂う事があるしねー」

「ナ……ナンダッテ」


 そして頭もキンバリーの言う事が追い付かなくなってくる。


 その後ろで「わ、私も……奴隷契約して貰えば……」とターニャがぼそりと呟くのが聞こえその気持ちが痛い程分かってしまう自分がいる事に気付く。


 クロとどどどど……奴隷契約だなんて………奴隷契約だなんて……。


 そこから妄想されるは奴隷としての一般的な日常。


 クロの性欲を処理する自分の姿である。


 ある程度妄想した後納得いかない事があり、サラはキンバリーに問いかける。


「それで……その話が本当だとしてなぜキンバリーは平気なのですか?」

「ああ、一種の焦らしプレイだと思ってるから私」


 そう答えるキンバリーの顔は実に恍惚としていた。


 さらに追加情報として「ほら、私ってMだからさー」と知りたくも無い友人の性癖を言われ軽く引く。


 何故ならその事が嘘偽りない性癖だと彼女の恍惚とした顔を見れば分かる為により一層引いてしまう。


「M……てその、なんですか?」


 キンバリーの一方的なカミングアウトにサラはドン引き、アルは何故か「その気持ち分かるかも知れない…」と呟き、その呟きにサラは「お前もか」と言いたげな雰囲気わ纏い仲間に裏切られたような表情でアルを見つめ、キンバリーはその表情のサラを見ると無駄なドヤ顔をサラに向けたとき、ターニャの純粋無垢な質問が四人の空間にその神々しさを伴い放り込まれる。


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