第206話何故入って来た

「何故入って来た……そうね、その言葉はあなた方にこそ相応しい言葉はではありませんか?」


 しかし、怒鳴られた女性は静かに周りを見渡すと逆にコンラッドへ問いかける。


 その問いにコンラッドは返す言葉が見つからずただ目の前の女性の眼を見つめる事しか出来ない。


「ミセル、レイチェル、ぼけっと突っ立って無いであそこの女の子を介抱してあげなさい。濡れタオルをストレージから出しておきますから」

「は、はい!!セラ様」

「分かりました!!」


 そして別の女性、綺麗な金髪を頭で纏め上げ清楚と聡明さを感じられるセラ様と呼ばれている女性にミセルとレイチェルと呼ばれた侍女であろう二人の女性にベッテンを介抱してあげるように指示を出し、侍女であろう二人はセラから濡れタオルを渡されるとベッテンの武具を外しにかかる。


「辞めろ!!マンティコアが見えないのか!!武具を外すな!!」

「取り敢えず私達…あー……えっと、セラ様とウィンディーネ様とルシファー様がいるから安全です。貴方もその……濡れた武具を身に纏うのは気持ち悪いでしょう?」

「無理よ!!コンラッド大佐でも勝てない様な相手なのよ!?」


 セラの指示により自らの体液で濡れているベッテンの武具を脱がそうとするミセルとレイチェルという侍女達。


 普通ならコンラッド大佐でも勝てない敵が直ぐ近くにいると言われれば血相を変え逃げようとするのが普通であるのだが侍女二人は「あー……」と力無く呟きその表情からは「コンラッド大佐程度が勝てない敵なら大丈夫」と言いたげである。


 そしてベッテンは精神的に疲れきっており二人の侍女にアレヨアレヨと武具を脱がされ衣服を脱がされてゆく。


「年頃の異性に興味があるのは分かります。ですが本人の了承を得ずに見るのはどうかと思いますよ?コンラッド大佐。【氷壁】」


 そんなつもりで見ていたのでは無いが彼女言ってることは正しいのですでに白い氷の壁でシルエットしかし見えないベッテンから目をそらす。


「取り敢えず、頭を損傷させられている遺体が無いのは幸いですね。助けられる命があるかもしれないので勝手ではありますが【聖なる癒し】」


 彼女がそう魔術を唱えると部下の負傷した箇所がその損傷具合に関係なく全て元通りに治って行く。


 これ程の癒し魔法が使える神官をコンラッドは今まで見た事も聞いた事すら無い。


この女性達は何者だ?

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