第127話甲乙つけがたい
ゴブリンの角はコツさえ掴めば剥ぎ取りやすく、また小さくて軽く丈夫なので剥ぎ取り箇所にされているのだが、それでも角を30個は結構な量になった。
ちなみにゴブリンの角一個で質にもよるが大体日本円で二千円~五千円で換金でき、普通の冒険者だと一日に三体前後討伐するだけで帰るらしく、そこまでかさばらないとのこと。
そしてこのゴブリンの角は綺麗に洗浄され、薬の原料などに使われるらしく割と重宝されているらしい。
「ですのでゴブリンといえど我々の生活にほ欠かせないんですよ」
と、ゴブリンについて詳しく語るサラは今までの怯えていたような感じではなくどこか生き生きしているように見える。
それはそれで魅力的なのだが、やはりサラのように美人で根が強そうな女性が怯える姿もまた嗜虐心をそそり甲乙つけがたいのだが。
「なるほど。増えすぎると厄介だが、狩りすぎてもダメだって事か」
前世でいうところ繁殖率からしても鼠みたいな感じなのだろか?厄介者ではあるが、彼らのおかげで我々人類の医学の進歩もかなり助かっているわけだし…。
「いえ、奴らは狩り尽くせるような生易しい魔物ではないので狩り尽くす勢いで討伐してもらっても構いません。まるでゴキブリです。鼠のほうがまだ可愛い分ましですが、ゴキブリとゴブリン…Gに情け容赦は必要ありません」
そういう事らしい。
相当ゴブリンに対して何か恨みでもあるのだろう。今ここでそれに触れてはいけないと俺の経験則が頭の中に警告音を鳴らしているのが聞こえる気がするので話題を変えることにする。
「にしても物知りなんだな。助かるよ」
「ぼぼ、冒険者を目指すならこれぐらい当たり前ですっ!今まで力任せの能力任せで生きてきたんでしょう。ええそうでしょうっ」
そういうとサラは顔を背けるとクロを罵倒し始めるのだが、その耳は真っ赤に染まっているのが丸分かりである。
そしてなにより、冗談でもクロに対して罵倒できるぐらいは仲良くなれたのだと思うと自然と笑みができてしまう。
なんだか野良猫をやっと触らしてもらえた気分に似ている。
「じゃあ今日はゴブリンを徹底的に狩り尽くす勢いで討伐するか」
だからだろうか?今日は十分過ぎるほど稼いだのだが彼女の親密度を上げる為だけにもう少し討伐しようと思っても罰は当たらないだろう。
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