第42話死して償え
「待てクロ! 王都から人間側の軍が来るまで辛抱しろ!」
「それじゃいくらお前のお父さんやノクタスにいる冒険者達が強くても間に合わないんじゃないか?」
「……ッ」
「い、嫌です! それでクロさんを失いたくない!」
クロの言葉で押し黙ったメアに代わりミイアが口を開き叫ぶ。
クロ同様ミイアもクロに依存しかけているのだろう。もちろんミイア程じゃないがメアもその節が見える。
しかし、彼女達が俺を魔族だと知っても変わらず接してくれるのだろうか?
結局、俺はこの世界でも逃げ癖が治らないみたいである。
しかし、自殺にしろ今回の件にしろ、その判断が間違ってないと思っているのもまた事実。
ミイアの言葉に返事をせずストレージから魔銃・雷鳴と魔刀・雷切を取り出すとミイアに雷鳴、メアに雷切を渡す。
「もしかしたら残党がここに流れてくるかもしれない。その場合を想定してこれをお前達に貸し渡す」
そう言いながらメニュー画面を開き武器の持ち主欄に自分の名前の他にメアとミイア、それぞれの名前を入れる。
これでメア達もこの武器を使えるはずだ。
「その武器をお前達も使えるようにした。使いこなすには時間がかかるかもしれないが、それでも威力は絶大なはずだ」
「だったら私もクロと一緒に戦うわ! 心が壊れてしまっている私はクロがいてくれないとダメなの!」
「私も一緒に行くぞ! わ、私だって、たった数日かもしれないが気がついたらミイアに負けないくらい好きになっていた!」
二人の悲痛な叫び。そして俺は二人に問う。
「俺が魔族だとしてもか?」
「そんあわけないだろ? 現にクロの肌の色は魔族には珍しいベージュベーで……ひっ!?」
「あ…ぁあ…」
メアの言葉は途中で止まり、メアとミイア、二人の顔は恐怖に染まる。
それもそのはずである。目の前にいきなり巨大な黒竜が現れたのだ。
爪一つ一つ、牙の一本一本、鋭く赤い目に漆黒の巨躯、それら全てが死を連想させる。
「我が主、魔族の王を人間と申すか。万死に値する失言だぞ小娘共よ!」
急に現れた黒竜は、メア達に吠える。死して償えと。
「やめろバハムート。こいつらは俺の大事な人達だ」
「……むう…かしこまった」
このバハムートという名前の黒竜はゲーム時代に課金で手に入れた超絶レア召喚獣である。その召喚獣を物は試しと召喚してみたのだが、巨大なのはまだいいがまさか喋るとは思わなっかたので内心焦る。
そしてクロはさらに麻の服からこの世界で最初に着ていた馴染み深いゲーム時代の装備に変える。
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