第6話目がマジ

 しかし、察するにこれは俺の生活もかかってくるのでメアの受け答えに「はい」だけ言う置物になれと言われていたのだが助け船を出す事にする。

 もし話がスムーズに行ったとしても婚約者になるだけだろう。


宿無しホームレスとヒモ婚約者ならヒモ婚約者を俺は選ぶ。

 見知らぬ土地で訳もわからず死ぬよりマシだからな。


「それは違いますお義父さん」


義父さんという言葉で筋肉モジャモジャ親父の顔から不快感が滲み出ているので口を一旦閉じる。ちなみに元の世界では「誰がお義父さんだ!」と門前払いだったことを考えるとまだ筋肉モジャモジャオヤジのほうがましである。

 そう考えるとまだマシなので相手が喋り始めるまえにこちらから話し出す。


「娘さんとは数年来の付き合いでして私が人間でない事に私自身自信が持てず娘さんには私と付き合っている事は内密にと口癖のようにいつも言っておりましたので娘さんは私との約束を守って下さったのでしょう」


 俺の話を聞いて納得いかないのがありありと顔に出ている筋肉モジャモジャ親父はメアの時と違い静かに反論しだす。


「………………その話が本当だとしよう。なら何故お前はメアを選ぶ?」

「何故、とは?」

「一度も貴族様が着るような高い衣服なんか見たこともない田舎者の俺ですらお前が着こなしている服が俺ら平民には一生働いても買えないくらい高価な一品だって事ぐらい分かる。そんな貴族様が何で平民のしかもこんなじゃじゃ馬娘何かを選ぶ? もし何人もいる妾の一人にしようってんなら…………」


 後の事は分かるよな?と目で訴えてくる筋肉モジャモジャ親父。目がマジだ。


 今着ている俺の服装は、頭に魔王の冠という装着すれば捻れた角が頭に生えたように見える帽子(MP50%アップのオートスキル付き)、黒に金の刺繍が見事な漆黒の羽衣という衣服(被ダメージ-50%ダウンのオートスキル付き)、漆黒のマントという装着すれば黒い悪魔のような翼がはえるマント(自分にかかるオートスキルの能力50%アップのオートスキル付き)、マナの泉というダイヤみたいな指輪(魔術系スキル消費-50%)もろもろ魔王降臨イベントガチャで課金して当てた課金アイテムである。


 俺からしても「何円課金したんだよ」と言いたくなる装備なの でメア同様麻でできた服を着ている筋肉モジャモジャ親父の言い分はもっともである。


「メアさんを複数の妾の一人に、また私が貴族だというのは私の命に誓ってありえません。それに人生の分岐点であり勝負どころでもあります。まずは服装からと力を入れさせて頂きました。」



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