夜23時

@sea-bream

第1話 明日の前

 突然誰かに会いたくなり、僕はスマホを手に取った。スマホは、23時45分と表示され、誰とも会えない事を告げられた。

 僕は、とても寂しくなった。

 明日の朝には家族と会える、学校へ行けば友人も居る。塾に行けば先生がいる。帰り道では、知らない人が沢山いる。そう、明日になれば誰かに会う事は出来る。後はゆっくり目を閉じるだけでいいんだ。

 しかし、違う。僕は、今、誰かと会いたいんだ。

 こんなわがままを聞いてくれる相手も居ない部屋で僕は泣いた。声は出していない。涙も出ていない。だが、僕自身が泣いているのを僕は知っている。

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