第46話 乱れるペース

前回の話ですが、少し修正してます。

早めに読んでくれた方は修正前のものになってしまったかと思いますのでご注意ください。


追い込みをかけてますが、それで間に合うかどうかが微妙なところ。

頑張ろう♪( ´▽`)


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「お前…あの垢BANがどれだけ大変だったと思ってるんだ…??」

俺の静かな怒りを感じたのか、相田は慌てて訂正してくる。


「わー待った待った!冗談!冗談だから!?これ、ただの話の枕だから!」

そう言って届いたチョコレートパフェを食べながら相田は続けた。


「いや、村井も狩人モンスターやるって環奈ちゃんから聞いた時は驚いたよ。狩人モンスターはマイナーでやる人全然いないから」

「…いやいや、言うほどマイナーじゃないから。ちょっと知名度がないだけ」

「だから、それがマイナーなんだって…。ってか稼働しているサーバーが実質4つしかないんだからそこは認めなよ」


…本当に認めたくない事実だが、狩人モンスターで稼働しているサーバー数は他の類似のゲームタイトルに比べて少ない。


「仮にユーザー数は負けていてもコンテンツでは負けてないんだけどな…」


それにはうんうんと相田も頷く。

「それは私もわかる。まあそれはおいておいて、本題なんだけどさ、垢BANされて経験値下がっちゃったんでしょ?お礼とお詫びを兼ねて私がランク上げ手伝ってやろうかと思って」


「は?相田はランクどれくらいなんだよ?」

垢BANのせいでランクは落ちていたがそれでも俺は結構ランク的にはかなり上位の部類だったのだ。バグ技なしで考えた時、最高で俺は400位くらいのランクだったのだ。


「私今150位」

「…まじか。…バグ技とか使ってるとかそんなことはないだろうな?」

「してないしてない。してたら私も垢BANくらってるんじゃない?強いていえば、ちょっと課金してるくらいかな?」


「あー課金勢か…」

なら負けるよ。だって俺基本的に課金しないもん。


「言っとくけど、私だって課金はしてるけど微課金だよ、微課金。私、バイトしてるし」

相田はチョコレートパフェを美味しそうに頬張りながらフォークを俺に向けて言ってくる。


「で、さ。この間拡張された”アトランタ大陸”ってあるじゃん。私あそこで隠しダンジョン見つけたんだ。これが結構経験値が稼げるところでさ。平均で最新ダンジョンの1.3倍くらい。パーティー組んでそこで経験値稼ぎしたらいいんじゃないかな、と」


…マジか。そんな情報ネットにも上がってなかったと思うけど。

こいつはどっからそんなの見つけてくるんだ。


「あ、言っとくけど、隠しダンジョンを見つけたのも偶然だから。バグ技とかを見つけたのもそう。不正行為とか私何もしてないから。私自分でいうのもなんだけど、私マジで強運な人間なんだ」


高校受験も山を張ってたところがドンピシャで入学できたとか、福引を引いたら温泉旅行が当たったとか、それはそれは羨ましいエピソードを話してくれた。


俺と変わってくれないかな?


そしてちゃっかりヨーグルトパフェも貰うわと俺のパフェも遠慮なく突ついてくる相田。

…やっぱりというか、こういうの全く遠慮しないのな。



「で、どうする?パーティ組む?」

「うーん、まあ魅力的な話ではあるんだけど…。俺、今初心者用のアイテム集めないといけないからな…」

「へー?なんで?」


神代の話でだいぶ俺の警戒感は薄れたものの、別に相田と仲がよくなった訳ではない。この話もぼかしておいた方が無難だろうな。


「…いや、狩人モンスターやりたいってしたいって奴がいてな。ほら”ハピネスリング”とか”月桂樹の雫”とかあったらだいぶレベル上げしやすいだろ?折角だから楽しんで欲しくてな」


…そういうと相田はまたニヤニヤ笑みを浮かべている。

「あーなるほどねー。篠崎とゲームやるんだ?」


言い当てられて俺は驚いてしまった。

「…なんでわかったんだ?」


俺のその様子に爆笑する相田。

「マジでウケる笑 カマかけてただけに決まってるじゃん!あーやっぱり村井はマジで面白いわー。これ引っかかるやついるんだ笑」


うん、相田はマジでうざいわ。

こいつ、やっぱり俺で遊んでるじゃん。


俺、なんかこいつと話していると調子狂うな…。

自分のペースで話ができない感じがする。



「まー怒らない怒らない。私その辺りのアイテムだったら余ってるし。あげるよ」

「は?マジか?」


ハピネスリングはともかく月桂樹の雫は消耗アイテムなので500個は必要と思っていたのだが、なんと相田は持っているとのこと。

なんと相田はストレージの容量が最大になっているらしく上級者には用途をなさない初心者向けのアイテムもきちんと保管しているらしい。


「微課金とはいえ課金勢だから。私のストレージは容量最大なんだよね。てか、村井もストレージくらいは課金しておけば?」


悪かったな。

俺は無課金でどこまで行けるかを楽しんでるんだよ!


「それにしても、やっぱり篠崎かー。本当にわっかりやすいわー。まさかゲームもやるとはね…」


…まあ、俺の交友関係なんてたかが知れてるもんな。


最近の篠崎はもう普通に教室内でも俺に話しかけてくるので、篠崎の周りの人達も戸惑わなくなってきたからな。

そりゃわかりやすいか。

そしてついでに篠崎がゲームするのが意外なのも同意である。



「それじゃ、アイテムあげるのと経験値上げに手伝うってことがお礼ってことでどう?」

「…」


正直、相田と関わるのはちょっと怖い。


だが、提示してもらったメリットは個人的には結構でかいし、何よりここで断って別の機会でお礼がまだできてないから〜と絡まれるのも面倒だ。なのでここで関係を精算した方がいいのではと思った。


なので俺はメリットと不安を天秤にかけ…今回はメリットを取ることにした。


「…そっちがそれでいいなら、お願いしたい」


俺の言葉に相田は当然とばかりに笑う。

「はい!言質取りました!これ最終決定だから変更できませーん。じゃ、ほら携帯」


そういうと相田は1ineの連絡先を交換をしようと自分の携帯を出してくる。

ちょっと教えていいか悩んだが、まあ最悪ブロックすればいいだけだ。

そう思い相田と1ineの交換をする。


「よし、あとは〜」


そういうと対面に座っていたなぜか相田はわざわざ俺の隣に座り直す。

何やってんだ?と思うのも束の間、相田は俺の肩をぐいっと引き寄せると止める間も無く携帯を高く掲げてパシャリと俺と相田のツーショットを撮っていた。


「はい、記念写真ー!」


速攻で可愛いスタンプと共に今撮ったばかりの写真を送ってくる。

こういう行動力を見せつけられるとやっぱりこいつもカースト上位のやつなんだなぁと実感してしまう。

…だからって許可なく勝手に写真撮るなとは思うが。


「じゃあ、今日早速攻略するから。21時にオオトモ広場集合ね。時間空いてるよね?」

「へ?時間はまあ大丈夫だけど…いきなりすぎないか?」


「いや、元々私その時間に攻略する約束してたからさ」

「は?」


狩人モンスターは元々最大4人パーティ。

話を聞くと元々3人で攻略予定だったとか。


…やっぱり俺ていよく使われてるだけなんじゃ?

そんな疑問は拭えなかった。


まあ、いいや。

今日一回だけ一緒にやったら、それで終わりにしよう…。


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