第5話 春

アルバイトで稼いだ賃金何に使おうか悩んでいた


そうだ!熱帯魚を飼おう

共産主義を学ぶ友人から


「完璧な熱帯魚の飼育」って本を借りて勉強

水槽の準備からおすすめ水質調整剤に餌

様々な魚を飼う事の術が書かれている


まずは水槽選び


お店で売っている一番大きい水槽を選んだ

水槽の裏にはきらびやかな壁紙をはり

人工の綺麗に整った石や人工の美しい水草をレイアウト

無音のモーター搭載のポンプに

下部の水を循環させ浄化する装置をセット

フィルターは炭が練り込んである高級品

高級ヒーターで手動で温度調整をしてアナログ温度計で水温管理

「紅」って言う水質調整剤を入れ準備は整った


ペットショップへ行き熱帯魚を物色


光り輝くネオンテトラに色とりどりのグッピー

そして優雅に泳ぐエンゼルフィッシュ

アクセントに存在感のあるヤマトヌマエビ


さっそく買ってきた熱帯魚の袋に水槽の水を足して行き


水槽の水質にならせ水槽へ


熱帯魚たちは水槽の中で元気いっぱい泳ぎ回る

ネオンテトラはネオンテトラで集団で行動し

グッピーはつがいで子供がたくさん生まれたが殆どが餓死

エンゼルフィッシュはその場に立ち止まったまま

ヤマトヌマエビは与える餌を少ししか食べす痩せて行く

餌はお店で一番安い餌で名前も無い

毎日朝と夜、決まった時間に与える

トントンと水槽を静かに叩き与える事で水槽を叩くと

熱帯魚たちは餌の時間だと分かるようになった

水槽は統制のとれた空間でとても美しかった


ある時行きつけのペットショップへ


就職して給料もあがった事だし

熱帯魚の水槽レイアウトを

思い切って自分のやりたいようにしよう


ふと気になる水質調整剤があった


名前は「demokratie」

値段は普通でカッコいい名前だったので購入

水草のコーナに足を運ぶと「アメリカンスプライト」って

名前の水草があった。何でも熱帯魚の糞や尿、

二酸化炭素を吸収して光合成をして水質浄化に役立つらしい

興味が湧いたので購入

石も「リンカーン」って名前の天然石、

鉱物は「硬度」が上がってしまう事があり。

熱帯魚や水草の中には硬度が高い水を

嫌う種もあるようだがうちの熱帯魚は大丈夫みたい

ヒータもコンピュータ制御のサーモスタット

調子が悪かったモーターも従来の何倍もの勢いがある物へ

ちょっとうるさいけど

これまでの下部からの水流だけでなく上部からも水流をフィルターに

取り込むシステムを採用

フィルターも今まで薬で殺していたバクテリアを常駐させる

水質を浄化するフィルターへ

前から欲しかったデジタル表示の温度計

水槽内のレイアウトは

自分でカメラで撮った自然の渓流の写真を印刷して壁紙にした

河原に行き水槽にセットする自然の流木や砂利などを調達

渓流をバックに熱帯魚達が自由に泳ぎ回る姿を想像しつつ


今日から新しい水質調整剤


この間買って来た「demokratie」を与える

魚たちは最初警戒していたがそのうち元気な姿で泳ぎ出した

今まで無かったコケが生え出してきた

水槽に点々と付き多少汚れるがヤマトヌマエビは

お腹が空いた時自由にコケを食べる

餌も主食の「リース」って名前の栄養価の高い物

それに加え副食としてエビや小魚を含んだ「円」って

名前の餌で少し高かったけど


翌日水槽内で変化があった

ネオンテトラはそれまで集団でしか行動しなかったのに

時に集団で時に個々が集団から離れ泳ぐ

つがいで飼ったグッピーは仲良く泳ぎ

生まれて来た子供達もすくすく育っている

エンゼルフィッシュはその場に立ち止まったままだったが

大きな水槽の中を自由に泳いでいる

ヤマトヌマエビは新しい餌も食べコケを食べちょっと太って来た


水槽の中の熱帯魚達は元気でなんだか嬉しそう

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