第57話 エピローグ シャラは本人が納得しないままに3国の王となる事が決まりました
「げっ」
シャラは真っ赤になって慌てて起き出した。
「えっ、姉御」
アルヴィンも固まっていた。
「よし、無かったことにしよう」
シャラが言い切る。
「それでいいよな、アルヴィン」
言われたアルヴィンもコクコク頷いた。
「姉御、大変です。姉御」
シャラをステバンが探す大声が聞こえる。
「どうした、ステバン」
服を着てテントから慌ててシャラは飛び出した。
「えっ」
ステバンはまじまじとシャラの胸のあたりを見た。
「どうした」
シャラが慌てて聞く。
「姉御って胸は大きかったんですね」
服を着崩していて、乳房が少しはみ出していたのだ。
「何言っている」
シャラは赤くなって思いっきりステバンの頭をしばく。
慌てて衣服の乱れを直す。
「それよりもどうしたのだ」
「ダレルからブリエントという奴が100人くらいの兵士を率いて、姉御にお会いしたいと」
「はっ?何故会わねばならない。そいつには会いたくない」
「でも、姉御、何でもすぐに姉御に言う事があるとかで、チェレンチーが姉御を呼んで来いと」
「ハッ?チェレンチーが聞けばいいだろう」
面倒くさそうにシャラが言った。
「それは姉自身がチェレンチーに言って下さいよ」
脳筋のステバンは理論家のチェレンチーが苦手だった。
「本当に同しようもないやつだな」
ブツブツ文句を言いながら本部の巨大テントに行く。
シャラが入ってくるのを見るとブリエントラらは一斉に跪いた。
「な、何の真似だ」
シャラは驚いて聞いた。
「シャラ様に置かれましてはマーマ王国制圧おめでとうございます」
ブリエントは跪いたまま祝いの言葉を述べる。
「別に私に手を出そうとしたやつを退治しただけだ」
なんでも無いようにシャラは言う。
「はっ、ダレル王国、ノザレ王国、そして、マーマ王国の3国を制圧されたこと、臣としては歓喜に耐えません。ここはなんとしてもこの3国を治められる国王にご就任賜りますよう、平にお願いいたします」
ブリエントが口上を述べた。
「はんっ、何でそんな面倒なことをしなければならん。私は私達に攻撃してきた不敵な奴らを退治したに過ぎん」
「しかし、行政機能をも含めて完全制圧された上は、その地にいる民の為に何卒、国王となられますよう、臣は平にお願い申し上げる次第です」
平伏せんばかりにブリエントは頭を下げた。
「姉御。姉御が3国で一番強いのは自明の事実です。3国の親分イコール国王ではないのですか」
チェレンチーまでもが言う。
「はんっ。だから、そんな面倒なことはしないぞ。そんなのは得意な奴に任せればいいだろう。」
そこへ、何故か立派な正装をしたアルヴィンが入ってきた。
「アルヴィン。良いところに来た。お前、元王子だろう。ぜひとも3国の王になってくれ」
シャラは喜んで声をかけた。元々アルヴィンはマーマ王国の第二王子だ。
国を治めることも出来るだろう。民に人望もあるはずだ。
早速シャラはアルヴィンに変わってもらおうとした。
しかし、そのアルヴィンがシャラの前で跪いたのだ。
「おい何の真似だ」
シャラは慌てふためいた。
「シャラ様。ここにアルヴィン・マーマ、命の限りシャラ様に忠誠を誓わせていただきます」
シャラは目が点になった。
「ここに、チェレーンチーもシャラ様に永久の忠誠を誓います」
「私も」
周りの者たちが一斉にひざまずき出したのだ。
「おい、待て、私は絶対に嫌だからな」
言うや、シャラは転移して逃げ出した。
「シャラ様」
ブリエントが叫んだ時はもういなかった。
「ほっほっほっ、なんとも情けないやつよの。逃げ出すとは」
笑いながらジャルカが入ってきた。
「ジャルカ様。笑い事ではありませんぞ」
ブリエントが怒って言った。
「まあ、こうなることは元々想定されたことじゃ。とりあえず、シャラがいるものとして準備していけば良かろうて」
ジャルカが言った。
「しかし、シャラ様はご納得頂けるのでしょうか」
ブリエントが不審そうに言う。
「最悪、シャラがならないなら、クローディアにさせると脅せば即座に戻って来よう」
「左様ですな」
「その線で進めますか」
4人は笑って頷きあったのだった。
シャラザール歴元年。シャラは本人が了承することなくして、3国の王となることが決まった。
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ここまで読んでいただいてありがとうございました。
閑話を3っつくらい上げる予定ですし、この続編の予定もありますが、とりあえず、完結とさせていただきます。
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