第25話 魔神はダレル王国を消滅させました

そして、王宮の大門が爆裂魔術で吹き飛ばされた。


大音響と共に門が内側に倒れ込む。


「非常事態だ」

「攻撃だ。大門が破られたぞ」

声を掛け合って騎士たちがわらわらと飛び出してきた。


「出会え!出会え!」

次々と出てきた騎士たちがシャラに切りかかる。

地獄からかっさらってきた宝剣草薙の剣の切れ味は素晴らしく、次々に騎士たちを肉塊に変えていった。


「大変でございます。金髪を逆立てた女騎士が押し込んできました」

騎士が国王に注進する。


「敵は何人なのだ」

「詳しくは不明ですが、見る限り1人です」

「一人くらい騎士団でなんとかしろ」

「しかし、やたら強い棋士でして」

納得しない国王に騎士が反論する。



「ええい、もう面倒くさい」

シャラは騎士の多さに嫌気が差してきた。


シャラは無詠唱で爆裂魔術を炸裂させる。


前にいた大量の騎士と後ろの王宮の壁もろとも弾き飛ばす。


その爆発は謁見の間も巻き込んで、アーノルド達も爆風で弾き飛ばされた。



「お、ここにいたか」

シャラは国王たちを見つけて言った。


「貴様何奴」

アーノルドはシャラが誰か判らなかった。


「何という恩知らず。元国王アーノルド、その方私を忘れたのか」

シャラが呆れていった。

「コニー達は少なくとも覚えておったぞ」


「コニー、ひょっとして貴様シャラか」

アーノルドは驚愕して聞いた。


「やっと思い出したか。ぼんくら国王」

「し、しかし、貴様は生贄として死んだはずでは」


「そうさ、貴様らのせいで地獄の無限地獄で悲惨な目に合わされていた」

「う、嘘よ」

王妃の悲鳴が上がった。


「ふんっ。人が苦労している時に、貴様らはここでのうのうとして私のかわいいクローディアをいじめていたのよな」

シャラはゆっくりとアーノルドの方へ歩き出した。

「いや、待て、シャラ」

「アーノルド貴様よくも裏切ったな」

シャラの鉄拳が国王アーノルドの頬を張り飛ばした。

「ぎゃっ」

アーノルドは柱に叩きつけられた。

「マティルダ。貴様もだ」

「いゃ、待って、そんな、ギャーーーーー」


マティルダの頬にも鉄拳が舞う。マティルダも顔中血だらけにしてふっとばされた。


「おのれ、化け物目」

皇太子が斬りかかるが、剣で弾き飛ばされる。


「貴様が能無し皇太子か。良くもクローディアを裏切ってくれたな」

シャラの怒りの鉄拳が鼻にめり込んだ。

鼻柱を陥没させて皇太子が吹き飛んでいた。



「貴様らが一生我が娘クローディアを大切にするという約束を良くも反故にしてくれたな」

「ま、待ってくれ。シャラ、これには訳が」

「何がわけがだ。そのようなものはいらん。何のために私が地獄から蘇ってきたと思うのだ。貴様らを地獄に叩き落すためだ」

シャラは手に魔力を込めた。


「まて、貴様王国を滅ぼすつもりか」

「ふんっ。こんな嘘つき王国など亡き方が余程民のためであろう」

「まっ待って」

国王と王妃が必死に許しを請う。


「言い訳は地獄の閻魔の前でやってくれ。閻魔には十分によしなにしてやってくれと頼んでおく」

「いや、うそ、やめて」


「地獄に帰れ」

シャラは爆裂魔術で王宮を一瞬で火の海に変えた。


ここに300年保ったダレル王国は消滅した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る