一なつの恋

12:00

「ひぃーとぉー。昼飯何にする？」

「昨日はラーメンだったから控えろよ。」

「筋マチョくんはこれだからめんどくさいなぁ。」

「んー、じゃあ定食屋にするか。」

一「そうしよ。」

今日はテスト返しの日。

今日は筆記のみで明日は実技の結果が出る。

俺はいつもの友達と5人で定食屋に行くとまあまあ混んでいて、狭い角の3人席に椅子を渡され詰め込まれた。

俺は夜から何も食えてなかったので腹が鳴ってしょうがない。

一「俺、焼き餃子と水餃子2皿ずつと台湾ラーメン。」

「すごい食べるな。朝、食べてこなかったの？」

俺の食欲に驚いているのが保育園からの幼馴染の千空 奏（せんくう かなで）。

中学校まで同じ学校に行ったが、高校は頭の差で別々になってしまった。

けど、元から似たような夢を持っていたからこの学校でまた一緒に学校生活が出来てる事をとても嬉しく思う。

「そんなにかさばるもの食うなよ。テーブル収まり切らない。」

俺の注文にケチをつけるのが学校1のイケメンと思う佐々木 海斗（ささき かいと）。

奏と同じ高校で、放課後空いていたら必ず一緒に遊んでいた仲だ。

専門学校に入ってからもバイトがない日以外いつも一緒にいる気がする。

「一は朝早いけど、朝飯食べないこと多いよね。」

一「まあ、めんどくさいってのが一番。」

確かにね！と同感してくてるのが女のような見た目の梅宮 明（うめみや あき）。

入学当初、俺の隣にいた明に声かけた時は驚いた。リボンブラウスにスカートを着て、俺が驚くほど低音のいい声で自己紹介をしてきたのは今まで生きてきた中でもだいぶ衝撃的だった。

「バランスよく食わねぇと年取ってからが大変だぞ。」

このジジくさいことを言ってるのが筋肉バカの山多 将（やまた まさ）。

明と同じくこの学校に入ってから出来た友達。

1世紀生きて時代を流れを自分の目に焼き付ける事が人生の目標らしい。

一「美味いもん食って死ぬ。十分だろ。」

と、会話を続けながら全員の飯を注文し終わり、品が来るまで他愛のない話をする。

その時間は俺の一番心踊る時間だ。

俺の知らない価値観をたくさん教えてくれる。

友達は宝だ。

恋人は恋心を芽生えされたり、愛を囁いたりしないとできないけど、友達は波長が合うからこそ一緒にいられるものだと俺は思ってる。

だから、この4人は無音と無言で過ごしても苦痛じゃない。

今年の正月はこの5人で過ごしたけど、みんなそれぞれ自由に俺ん家を出入りしてた。

俺は三が日でまともに外に出たのは初詣行った日くらい。

後は呑んで、ゲームして、絵描いて、寝て、映画見て…俺の正月は1人になる事はなかった。

みんなで七草がゆを食べた夜は寂しかったな。

まあ、家に帰らないと道具も何もないからな。

「おまたせしましたー。」

店員たちが両手いっぱいに俺たちの飯を運んでくれてそれぞれ頼んだ飯をきちんと目の前に置いてくれる。

こういう事が出来る人間に、俺はなりたかった。

「「「いただきます！」」」

俺たちは手を合わせて飯に食らいつく。

やっぱり好きな奴と食べる飯は美味いな。

この4人が俺の家族みたいなもんだからずっとこうしてたい。

そう思いながら、美味い飯を頬張り腹も心も満たしていった。

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