第104話 オズワルドはイチャつきたい

今日から魔法草の買い付けの為にオズワルド様と旅行を兼ねて出かけることになった。

いつもの馬車に乗ろうとすると内装が少し変わっていた。

向かい合わせだった座席が片方だけになっている。

心なしか片方の座席が少し広がったようだった。


「オズワルド様…座席を変えたのですか?」

「どうせ隣に座るんだから、向かい合わせの座席はいらんだろう。大体俺は足が長いんだ。前がつかえる」


何の自慢ですか。余計なお金を使わないで欲しい。


オズワルド様に手を引かれ馬車に乗り込むとぴったりくっついてきて、すり寄ってくるようだった。


「オズワルド様…狭いです」

「俺の上に座るか?」

「嫌です」


毎日毎日くっついてきて飽きないのか。

馬車は走り出すがオズワルド様はお構い無しに肩に手を回して抱き寄せている。


「オズワルド様、行き先はどのくらいかかりますか?」

「ゆっくり行くから今日はホテルに泊まるぞ」

「今日は着かないのですか?」

「焦る旅でもないしな」


そう言いながら馬車の中なのに迫ってくる。


「ここでは嫌ですよ」


馬車の中で押し倒す勢いであちこちにキスをしてくる。


「…っん」

「リディアが人前は嫌がるからウィルもマリオンも別の馬車にしたのだぞ」

「…っ、お休みの日を作りませんか?夫婦の夜にもお休みは必要です!」


毎日はさすがに疲れる!


「嫌だね。月のものの日は休ませてやるが他の日はダメだ」


オズワルド様は強引だった。

今まで待っていた堰が壊れたように迫ってくる。

しかも普段も溺愛しているのか優しい。


「あの…旅行の間に続き部屋のドアを直して下さいね」

「嫌だね。…部屋の壁も無くすか?」

「止めて下さい」


これ以上お願いしたら本当に壁も消してしまいそう。


「魔法草の買い付けはよく行くのですか?」

「去年も行ったな。夜会も多分招待されるだろうな」

「…もしかして、ご令嬢もいますか?」

「いるが興味はない」

「私と一緒にいてくださいね…」

「リディアが一番可愛いよ…」


照れもせず言うオズワルド様に私だけがドキドキしてしまっていた。



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