第30話 突然の訪問
「春っ!」
俺自身が気づいた頃には俺は彼女を抱きしめていた。
何故だろうか。
起きているかもしれないだけの事件。
全て想像で推測に過ぎない。
だけど、春がいなくなる……そんな気がしたんだ。
だから身体は春を離さないようにしたんだと思う。
そう俺は抱きしめながら考えていた。
「えっとー。これは婚約成立ってことでいいの?」
俺は急いで彼女から距離を取った。
「ごめんなさい。今のはノーカンでお願いします」
そう彼女に言うと同時にこんな軽口を叩けるなら起きているかもしれない事件は起きておらず彼女はただ休んでただけということだろうととりあえずは結論づけた。
「あー! 悠亜ちゃんも来てくれたんだ!」
「うん! 春ちゃん連絡してよぉー。心配したんだからね!」
「ごめんごめん。ちょっと忙しくてねー」
忙しいって何が忙しいんだろ。
俺がそう考えてると悠亜が聞いてくれた。
「春ちゃん、何が忙しかったの?」
春は少し間を置いてから「ちょっとゲームにハマっちゃってー」と笑いながら答えた。
「ゲームで休むのはまずいよ。学校はちゃんと来よ? 後ゲームはしてても連絡くらい返してよー」
「ごめんごめん」
その後も学校のこととかゲームのこととか話した。
それで一通り話し終えた後、何か問題を抱えているわけではなそうには見えなかったので俺たちは帰ることにした。
「今日は急に来ちゃってごめんねー」
「いいよいいよ。心配させた私が悪いんだし」
ともかく無事でよかった。
そうして俺たちは春の家からそれぞれの家に帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます