第10話男と老婆
山の中腹にある寺で
男は参拝を終え
いったい何段あるのか
分からないほどの長い
石の階段を降りてゆく
すると足の悪い老婆が
何とか手すりにしがみつくようにして
必死で階段を登ってきた
いったいそこまでして
何を願い
何を祈るのか
男は老婆とすれ違い
その小さな背中を見届けると
最後にこう呟いた
信じられる何かがあることが大切だ。
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