8本目 雑念と韻と僕

 ある日、ファストフード店にて僕の前に並んでいた、模範的肥満体型のアメリカ人(推定)老夫婦がそろってヴィーガンバーガーを注文していた、あの体型で。

 しばらくして、運ばれてきたものを覗いてみると、飲み物が2つ(当然ラージサイズ)と、ヴィーガンバーガーが1、2、3、4個もあった。


「じーさんばーさんがヴィーガンバーガーをイーアルサンスーか、プッw」

などとくだらないことを考えていると、自分の注文の番になった。


 ヴィーガン夫妻のせいで注文を決めていなかった僕は、レジに置かれたメニューに急いで目を走らせ、「中東フェア第8弾 アゼルバイジャン料理!」という欄のハンバーガーらしき写真を指して商品名も見ずに注文した。注文くらい先に決めとけよ、と言わんばかりの痛い視線をメニュー越しに感じながら、好きでもないコーヒーを追加で注文し、そそくさと会計を済ませてレジを離れた。


 整理券を持って注文を待つ。緊張から解かれ、落ち着きを取り戻したころ、今度は店の奥から

「パネルないんだけど知らない?」

「なんの?」

「ほら、アゼルバイジャンのやつだよ、困ったなぁ」

と店員同士の会話が少し聞こえてきた。


「アゼルバイジャンのパネルないじゃんと嘆く災難か、プッw」

などとくだらないことを考えていると番号が呼ばれたので、アゼルバイジャン風ハンバーガーとコーヒーを受け取り、僕は店を後にした。



【追伸】

韻については、ほかにも「十三不塔(シーサンプーター)」とか「カエル大ジャンプ」とかいろいろあったんですが、使いどころが思いつけず、少し残念です。

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