2本目 かわいいは正義

 「かわいいは正義」とは、元々ある漫画のキャッチコピーだった言葉なのだが、同時に、この世の真理であるということもまた自明の理である。


 ところで、僕の飼っている猫は1日16時間寝る。そして、そのうち8時間は僕の布団を寝床にしている。


 僕は今、寝ながら猫を撫でている。実は日ごろの姿勢の悪さが祟ってしまい、腰痛で動けなくなってしまったからだ。

 腰痛がいかに人間の気力を削ぎ、学業や仕事の効率を著しく低下させるのか、僕は身に染みて理解した。


 完全に気力を失った僕は、おとなしく布団に横になって養生することにしていたのだが、さっきも言ったのように僕の布団には毎日猫が常駐している。そのせいで僕は寝返りが打ちづらく、腰の治療にはむしろ悪影響が出ている。


 しかも、都合が悪いことにうちの猫は空気が読めないのか、それとも嫌がらせなのか、飼い主に断りもなく、布団のド真ん中を不法占拠する。

 

 しかし、僕はそんな猫の横暴な態度についてとがめることは出来なかった。言っても聞かないというのもあるが、最大の理由は、ずばり「かわいい」からである。猫はそもそも「かわいい」を具現化した動物なのだから当然である。だから、たとえ腰に悪いと言っても、僕に「かわいい」を侵害することは出来ない。


 「人が猫を飼っているというよりも、猫が人を支配している」なんて話は本当なのかもしれない。愛玩動物万歳。


そんなわけで、当分僕の腰は治りそうにない。

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