第4話 アナとの再会
サンドロとはその後しばらく付き合いは続いたそうだが、結局のところ2人は別れる事となり、サンドロは母国のイタリアへ帰ったそうだ。
当時はこのサンドロを通じて、アナと出会い、当時ひどい英語しか喋れなかった私にも大変よく付き合ってくれてたと思う。
彼女は、「マーガレットリバー」という、街に住んでいた。
パースから車で南に約3時間ほど走ると、世界でも有名なサーススポットを有する自然豊かな小さな町がある。
そこでは「ワイナリー」も有名で、マーガレットリバー産のワインを生産している場所も多数あり、実際アナの実家もワイナリーだった。
他にも広大な敷地でストロベリーや色々な野菜も育てる畑も有しており、当時はその収穫業を「ピッキング」と呼び、実際その作業に従事したこともある。
また、そのワイナリーに泊まらせてもらい、大自然の中、イタリア人のサンドロと共にパスタを作り、ワインを飲みまくり、最高の時間があった。
そんな時間を提供してくれたアナとは
この5年間個別の友情を育んでいて、
もはやサンドロはいなくてもなんらコミュニケーションに障害はなかった。
ドミトリーを出て、まずはアナに電話をかける。
この海外での電話というのはいつも緊張感で手に汗握る思いだ。
しかしながら集中しているせいか、意外と苦手な聞き取りもでき、相手にも話が伝わってる気がする。
5年ぶりのアナの声。少しハスキーで、テンション高めのその声は、メールでやり取りしていた時には感じられなかった当時を一瞬で思い出す。
「hey!humi!!」
相変わらずの声を聞くと、懐かしさと電話が繋がった安堵の気持ちがあふれる。
電話では話もそこそこに、夕方にパースのシティで会う約束を段取りし、なんとか無事会えそうなグッジョブ感を感じながら宿に戻る。
夕方までは少し早めに街へ出て、久しぶりに歩くパースの街並みを堪能する。
当時通った日本食レストラン、あびるほど酒を飲んだパブ、ここのピザ美味しかったなーなど、感慨深さに浸りながら、待ち合わせ場所へ。
ほぼ時間通りに到着すると、同時に当時より髪が短くなった事以外、全く変わらないアナと再会。
5年前、彼氏の友達だったというだけでこのように再会の約束をこじつけるなど自分の中で少しおこがましさを感じたりもしたが、アナの笑顔はそんな事など杞憂に思わせてくれる。
「元気だった??」
「あぁ、ひさしぶり!元気そうだね」
と言いながら、ハグで挨拶。
この、ハグというものが、私は少し苦手である。
男性同士なら、全く構わないが、いかんせん相手が女性ともなるとどのような加減で接すべきなのか、とても迷う。
日本人あるあるではないか。
強く抱くべきなのか、それともそこまでギュッとするのはマナー違反なのか。
それに頬にキスをする仕草も、あれは本当にキスをするのか。
頬を、合わせるだけなのか。
仮にキスをするとなると、誰でもいいわけではないだろう。
だからといって、しないというのも失礼に当たるような気もするし、加減が難しい。
とりあえず、アナとは気持ち強めにハグをし、頬に軽めのキスを。
自分の中でベストの選択肢を選んだつもりだったが、若干顔を曇らせた気がしたのは見間違いだろうか。
さておき。
連れられて入ったパブ&レストラン的な所に入った私たちは久しぶりの再会に話を弾ませる。
といっても、なにを言ってるのか、ほぼ理解できていないのだが…
とにかく、愛想をふりまき、なんとか雰囲気で乗り切っている。
しかし、徐々にアナの友人達が連れ立ってやってきて、主役だった私はさらにその言葉の壁にもがき苦しむことになる…
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