第102話 諸事情で次のエリアへ


 

 ふぅ。

 まあ、ガチャの結果は推して知るべし。


 ふっ……いいの出ねぇ。いや。今装備している物は出たのだから目的は達成している。しているから良した。


 もう本当に物欲センサーでも実装されているんじゃないかと思うくらいには良いのが出ないわ。

 ま、法律で禁止されているからそんなことは無いと思うが、一部の国だとユーザーに一切知らせない状態で実装されているみたいな話を聞くから、もしやとは思ってしまうが、さすがに無いだろうな。


 まあ、ガチャについて考えても意味はないな。次のエリア行くとしよう。

 第5エリアに来てすぐに先のエリアに行くのはどうかと思うが、これにはちょっと事情がある。簡単に言うと霊泉から教えて貰った装備の強化に関してだ。


 少し前までこの第5エリアが最前線ではあったんだが、どうやら俺がこのエリアに到達する少し前のタイミングで第6エリア前のエリアボスが倒されて、そのボスを攻略したパーティーが第6エリアの主要都市に着いたんだよ。

 という情報をイケシルバーから聞いた。これはメイドと話す前に貰った情報だ。


 それで、どうしてすぐに行こうとしているかというと、まあ、霊泉から武具強化スキル以外での強化方法を教えて貰ったんだが、それが出来る場所が第6エリアの最初の街だそうで、第5エリアでは出来ないんだと。

 だからここから先に進む必要があったんだが、当然新しいエリアに行くにはエリアボスを倒さないといけないわけだ。

 いつもだったら、確実に倒せると思えるまでレベル上げをするんだ、今回に関しては多分それが必要ない。


 どうしてかって言うと、第6エリアに進むために倒さなければいけないエリアボスは火属性のファイアガルーダって言う奴らしい。


 そう、火属性。弱点属性は水。そしてシュラは水属性。


 ファイアガルーダの攻略法も相手の行動を阻害しつつ、水属性の攻撃でHPを削るらしいから、シュラが居れば割と優位に戦えるはずだ。一番火力のあるスライム砲(スライム魔法でシュラの腕が小型の大砲状になって水球みたいなものを打ち出すもの)も水属性だしな。それに、推奨レベルは35らしいから挑む分には問題ないはずだ。レベルに関してはギリギリだが。


 ただ、ぷらてあと朱鞠は弱点属性が火なので今回は第5エリアのギルドでお留守番になるが。楽に倒せそうとは言えさすがにリスクを背負うのはなしだ。

 やちゃるもレベルが低いのでどうしようか悩んだが、デバフ系のスキルを持っているので参加。ただし、俺から離れないようにして、もしもの時は俺が身代わりになるってかんじだが。

 マジでヤバくなったら速攻で俺が死ねばいいんだしな。そうすればシュラたちへの被害は最小限に抑えられる。


 そういう訳で第6エリアに一番近くギルドのある町まで移動。その間にある程度モンスターを狩ってレベルを上げを行った。まあ、上がったのは精々1レベルだったが、俺のレベルアップに伴い今まで上げ止まりしていたシュラたちのレベルも1つ上がった。

 やはり俺のレベルがシュラたちのレベルキャップになっているようだ。


 町にあるギルドにぷらてあと朱鞠を預ける。

 預けた瞬間凄く悲しそうな表情(朱鞠の表情はわからないので動きから察した)をしていたが、これはお前たちのためだと心を鬼にし、なるべくその光景を見ないように直ぐギルドから出た。



『エリアボスとの戦闘エリアに入りました』


 しっかりと準備をしたうえで町から出てそのままボスエリアへ突入した。


 アナウンスと同時に目の前に大きな鳥、見た目的には赤やオレンジの羽をもつ大鷲だ。あれがファイアガルーダなのだろう。

 サイズは地上に立ったまま、翼を広げる前の状態で俺のアバターサイズを優に超える。おそらく翼を広げれば5メートルは超えるだろう。


 リアルで襲われたら逃げ切れる自信はないな。


「キュオアアアァァァアア!!」


 戦闘開始とともにファイアガルーダが空へ飛びあがる。


 いままで攻略が滞っていた理由の一つがこれだ。ファイアガルーダは一度飛び上がると終盤までほとんど地上に降りてこない。叩き落せばしばらくは地上で戦うことが出来るようだが、その条件を満たすのが結構難しい。


 その条件は、一定時間内に一定以上のダメージを与え、最後に水属性ダメージを与えることらしい。まあ、シュラが居れば簡単に満たせそうな条件ではあるが、プレイヤーだと案外水属性特化の魔術師は少なかったらしく、ファイアガルーダに通用するところまでスキルを育てるのに時間が掛かったようだ。


「攻撃するです!」


 事前に伝えておいた作戦通り、シュラが飛び上がってすぐのファイアガルーダに向かってスライム砲を放つ。


 ファイヤガルーダは最初に飛び上がった後少しの間、動かずにこちらの様子を窺う動作をすると教えて貰っていたので、その隙を確実に狙うため事前にシュラに指示を出しておいたのだ。


「キョガァア!?」


 弱点属性によりダメージを与えられたファイアガルーダが悲鳴のような声を上げているが、今のところ地面に落ちてくる気配はない。


 与えたダメージは頭上に表示されているHPバーの減り具合からして1割は超えていそうだが、2割には届いていないのか。2割を超えていれば地面に落ちるらしいんだが、もう1発必要と。


 いや、それ以前に1撃で1割以上のダメージを叩きだしているシュラの攻撃は凄いな? このままうまくいくとは思えないが、HPバーを見る限り合計8発撃ち込むだけで倒せそうなのがヤバイ。

 前線組が手古摺っていた相手だっていうのにどんな火力だよ。


 まあ、それほど苦戦しなさそうだからいい事だけどな。


 さて、次からは止まっている相手に攻撃できる訳じゃないからそう簡単に攻撃を与えることは出来なくなるだろう。それにシュラばかり戦わせるわけにもいかない。そんな訳で俺たちも足止めとして戦いに参加することとしよう。

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