新しいゲームを始めよう
第1話 アバター種族
FSの第一陣の当選通知が届いてから直ぐに俺は新しいデバイスを購入した。元々使っていたデバイスは大分前に買った奴だったから型落ちになっていたし、今後長時間プレイするつもりだから良いやつを買うことにしたのだ。
そして買ったデバイスはベッド型と呼ばれているが、実際は卵を横にしたような形のものだ。これを簡単に説明すれば、廃人御用達のデバイスだ。その理由は長時間フルダイブしていても体に負担がほとんどかからない優れモノだからだ。
ただまぁ、その分値段が以上に高い。1台何と100万越え。おそらく俺みたいなやつが買うのだろう。普通に考えたらヘルメット型のデバイスで十分だからな。
そして今日はFSのサービス開始日だ。既にデータはダウンロード済みで、サービス開始時間を今か今かと待っている状況だ。
サービス開始は16時から。現在は16時5分前だ。
時間的にそろそろデバイスを使い始めても良いだろう。そう思い、俺はデバイスの中に入っていった。
16時。サービスが始まった。ログイン自体はスムーズに進んでいる。最初は注意事項が表示されていたが、今は目の前にFSのロゴが表示されている所だ。
そしてロゴが消えると目の前にウィンドウが表示され、そのウィンドウに表示されているアバター制作のボタンを押した。
ボタンを押すと直ぐに目の前の光景が変わっていく。ロゴすらなくなった何もない空間から、周囲にマス目が表示されている、いかにもグラフィックの設定です、といった空間に切り替わる。
『ようこそ、Full × Stories Onlineの世界へ。
ここは貴方様がFull×Storysの世界で活動するための体を作成する空間です。
これより、アバターの製作に移りますがよろしいですか?』
「ああ」
『では、アバターの製作に移ります。
こちらではデバイスに登録されている貴方様の現実での体を元にアバターを作成していきます。
アバターの性別も変えることも可能ですが、現実の体と異なる性別や体格が大きく異なる場合、Full × Stories Onlineの世界を十全に楽しめない可能性がることを理解した上で製作してください。
では、アバターの製作を開始します』
俺の現実の体が目の前に現れる。ああ、裸だな。まあ局部はデフォルメと言うか表示が曖昧になっているから、うわぁとはならないが。普通の体だ。中肉中背と言うには若干痩せているが、ぱっと見特徴が無い。背が高いわけでもない、筋肉がついて引き締まった体でもない。
このままプレイするのでも問題はないが、出来る限り現実の俺から変えた方が良いだろう。地元の知り合いがそのままプレイしていないとも限らない。まあ、元からどんな感じにするのかは決めているのだけどな。
さっそくアバターを弄っていく。イケメンにはしない。女が寄って来るのは困る。いや、アバターをイケメンにしたからといって寄って来るわけないのは理解している。しかし、ほんの少しでも可能性があるなら排除するべきだろう。
なので、アバターの性別を女に変える。目指すはあざと可愛い系の低身長女性アバターだ。ああ、声の設定もあるのか。うーん、これは見た目に合うような感じにしてっと。
グラフィックを操作すること30分ようやく理想に近いアバターが完成した。
『アバターの製作は以上でよろしいですか? 現在、現実と異なる性別・体格が設定されています。この場合、アバター操作の苦情などは受けることが出来ません。よろしいでしょうか?』
「構わない」
『では、先に進みます。
次はアバターの種族を選択してください。種族選択後、アバターの見た目が多少変更される可能性がありますが、その場合アバターの再製作が可能です。
現在、選択できる種族は、ヒューマン・エルフ・ドワーフ・犬獣人・猫獣人・ランダムになります』
「ランダム?」
テストプレイのβ版について事前に調べた限り、種族をランダムで選べるとはどこにも記載されていなかったのだが、正規版で新しく追加された要素か?
俺は猫獣人でプレイするつもりだから、ランダムを選択するつもりはないのだが、何か引っかかる部分があるな。
『ランダムは1アカウントごとに3回まで選択が可能です。選択した場合、Full×Storysに存在する全ての種族からランダムで選出されます。ランダムで選ばれる種族は、種族ごとに設定された確率により選出される確率が異なります。ただし、選出される確率が低いからといって必ずしも強い種族とは限りません』
なるほど。最初の選択に無い種族になれる可能性があると。これ、相当荒れるだろ。過去にも同じようなことをして荒れたゲームもあったしな。
最悪、見たことのない種族になれたプレイヤーがそれ以外のプレイヤーに攻撃される可能性もあるな。
『また、ランダムで選出された種族はFull × Stories Online内のオークションシステムに出品する事で売買可能です。アバター種族の最低価格は選出確立によって決まっておりますが、上限価格は決まっておりません。
アバター種族を売りに出した場合、アバターの種族がヒューマンになりますのでご注意ください』
これも荒れる要素ではあるが、ランダムで出なかった奴でも一応基本種族以外になれる可能性があるのか。しかもランダムとは違って、選べる……いや、目当ての種族が無かったら買えないのだが、買える可能性がある、というだけでやっかみは多少減らせるかな。まあ、ゼロには出来ないだろうけど。
「とりあえず1回ランダムで」
『了解しました。種族ランダムを選択します。……選出中です。……ドラゴンレイス(光)が選出されました』
初っ端から基本種族以外か。しかも、ドラゴンレイスってことは竜人ってことだろ? ってうお!? アバターの見た目が変わった。ああ、全体的に白っぽい感じになったな。顔つきも若干違うが、これはこれで似合う……か? 所々鱗っぽいのが見えるのはドラゴンだからかね?
あーどうするか。この種族でもいい気がする。猫耳も捨てがたいが、ゲーマーとしてレアの響きを無視することは出来ない。
……この種族でいこう。ああ、その前に目の色を変えよう。猫獣人のつもりで作ったから瞳の色が蒼なんだよな。今は見た目が白いから蒼よりも赤の方が俺は好みだ。
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