第14話 銅等級に上がる為に
今、ボクたちが主に狩っているのはE rank――鉄等級相当の狩猟対象魔獣だ。
普段は「ブレイブ・ハート」のメンバーといっしょに
ボクは最近、そんな日々を過ごしていた。
以前は週の大半をロイといっしょにクエストに取り組んでいたけど、今はロイとクエストをこなすのは週に1回くらい。
あとは「ブレイブ・ハート」のみんなと過ごす時間が増えてきていた。
ロイもまた自分が所属している「ナッシュ・ヴィレッジ愚連隊」のダンジョン探索に同行する機会が増えてきて、忙しそうにしている。
それでも相変わらずロイは、ボクが「銀の乙女亭」のお手伝いをしている日には夕食を食べに来てくれていた。
テミスは
リーダーのアルトリウスもそれを追いかけるように銅等級に昇格し、「ブレイブ・ハート」のメンバーでまだ鉄等級なのは最年少の神官ラファエロ君だけになっていた。
ボクたちは今日、兎狩りをした森よりも更に深い森の中で
運悪く…… いや、運良く上位種の
――っドゴ!!! ガーンっ!!
ランスは手に持つ盾でそれを受け止めたが、
「ニコ! テミス! すまん、突破されてそっちに行った!」
「分かった! ボクがなんとかするよ!」
ランスが突破され、
でもランスが途中で勢いを止めてくれていたお陰でなんとかなりそうだ……
ボクは手早く宙に六芒星を魔法の短剣アゾートで描き、呪文を詠唱する。
「混沌よ、原初の合力よ! 力の渦となりて、敵を沈めよ!
闇色の力が渦となって重力を生み、
「せやっ! ――はっ!」
――ズバっ! ザシュっ!
後衛のボクとラファエロ君を守ってくれていたテミスが、手斧と鉈の
「――っおぉらっ!!」
――ザクっ!!
そこに前衛から急いで戻ってきたアルトリウスが、勢いそのままに
アルトリウスは急所を的確に刺し貫いていたらしく、
以前は同じD rankの
イレギュラーとかがあるとまだまだ分からないところもあるけれど、そろそろパーティーとしても銅等級扱いになり、ダンジョンにも潜れるようになるかもしれない。
その時にも声をかけてもらえるように、ボクも早く銅等級に上がらなきゃ……
他にもボクは火属性の
後は合成魔術さえ身に着ければボクも銅等級に昇格できそうだ。
テミスは早速、
「
と言っているテミスはすでに涎を垂らしている。
よっぽど美味しいんだろう……
今夜も楽しい夜になりそうだったけど、残念ながらボクは今日、「銀の乙女亭」のお手伝いの日だった。
ボクたちは狩人ギルドに戻り、今回の狩りの報告を行い、解体スペースを借りて
さすがに
今回の収入は全体で約7,500MP。
それを五人で割るのでボクの取り分は1,500MP。
それに加えて
狩人のテミスが絶賛するほどの
きっとケレブリエルさんも喜んでくれるに違いない。
▼▼▼▼
その日の「銀の乙女亭」の賄いメニューはボクが持って帰った
エルフ料理でトンカツは不思議な感じがしたけど、どうやらケレブリエルさんとゴンサクさんは友人らしく、これはゴンサクさんから教えてもらったヤマト料理だそうだ。
もしかしたら心優しいケレブリエルさんはゴンサクさんからボクがヤマト国出身らしいという話を聞いて、ヤマト料理のトンカツを作ってくれたのかもしれない。
肉叩きで丁寧に叩かれた
ソースにはゴンサクさんから譲ってもらった醬油も入っていたらしく、少し懐かしい味がした。
ボクがトンカツを夢中で食べていると、ケレブリエルさんが声をかけてくる。
「ねえ、
「はい、そうですけど……?」
「
「はい、そうですね」
「じゃあ、明日、私が合成属性の魔術を教えてあげるからいっしょにお出かけしましょう!」
「えっ!? 良いんですか? お店の営業とかもあるんじゃ……?」
「少しくらいならスタッフの子たちもいるし大丈夫よ! まぁいちおう夜にはお店に戻るつもりだけどね?」
ということでボクは翌日、ケレブリエルさんから合成魔術を伝授してもらうことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます