第28話 エルフはやっぱりエロフだった
「気は進まないけど……何だか助けないといけない気がする。」
結界は気絶しているラッテ達を中心に切り替える。
レティシアは一歩また一歩とその結界から出るように、エロフとオーク達の元へと近付いて行く。
「ユーリ、一応ラッテ達をお願いね。」
結界外に出て、他のエロフ達の目にもレティシアの姿が捉えられるようになる。
「ヘイ!べいべー!そこのピー自慢のオーク共、往来でエロフを襲うなんてイカれてやがるぜ、お前ら自慢のピーはノーフューチャー!ノーフューチャー!!」
腕を前にだし、人差し指をオーク達に向けて言い放った。
「誰が降臨したのシア……」
別世界にトリップしていたユーリは無事帰還していた。
「ぶもぉぉ。」
オークがレティシアに気付く。
只今絶賛強〇中のエロフを放り、レティシアの方へと走り出す。
ぷらんぷらんさせながら……
「お下品……ザンスよっ」
レティシアは親指に置いた花の種を人差し指で弾いた。
「ぶふぉっ!」
弾かれた種はオークの脳を貫いた。
その様子を見ていた他のオーク……
恐らく一番偉いと思われるオークキングの中でも一際大きい個体、例のエロフを貫いていた個体ともいえるが。
真っ先にエロフから引き抜き、見事な土下座を決めていた。
「ぶもぶも言われてもねぇ……」
ミノタウロスも同じような響きだったしとレティシアは思ってた。
「はいはい。えー、絶対服従しますので殺さないでください?」
「畑仕事でも田植えでも重量物運搬でもなんでもします?」
「―――と言ってるけどどうする?」
一応ユーリのところに戻り相談をするレティシア。
「開拓要因として外で働いて貰えば良いのでは?あの性欲をどうにかすれば良い労働力ではないかと。」
変に見つかればユキに食材だァとか言われるのがオチですしとユーリは言う。
「じゃぁ従魔的な措置をとって労働力にしましょう。エルフはどうしましょうかね。」
「一応エルフの偉い人と会って話す必要があるんじゃないでしょうか。国家間の問題になると面倒ですし。」
ユーリの言う事ももっともだと思うし、まずはエルフの長のところに行きますかねとレティシアは決意する。
これ、日帰り出来るかな……とも感じていた。
再びオーク達の元へと向かうレティシア。
ユーリと相談した結果を伝えると、オーク達は頷いていた。
「あんたたち……おいたをしたら……ぷちゅんしちゃうゾ♪」
右手をにぎにぎとする姿を見て、レティシアの性格がどんどん変わっていくなと思うユーリであった。
「えー、今後は誰も襲いません?」
「スキルで性欲封印出来るって?じゃぁそれ私が解除するまで永続ね。ほいっ。」
回復魔法でエロフ共々回復させた。
エロフは当然性交前に戻り全員が生娘に戻っていた。
エロフがエルフに戻った瞬間だった。
「ギルドマスターと領主……パパンに報告してくるから少し待ってて、魔物は流石に街に入れられないだろうし、無害を主張しなければならないからね。」
「ユーリ留守をお願い、あそうそう。ユーリも私に近い実力を持ってるから大人しくしてなさいね。」
こくこくと勢いよく首を縦に振るオーク達。
レティシアは瞬間移動でギルドへと転移した。
「おわっ突然現れるな、吃驚して寿命が2分縮まるところだったぞ。」
執務室で内職をしているレイコ・ヤソジマの元にレティシアは転移していた。
「あら、ごめんなさい。一応転移前に他に人がいない事は確認してはいたのだけれど。」
「それで唐突になんだ?」
レティシアは事情を説明する。
森を西進して出会った魔物達の事を。
アルラウネのラウネを仲魔にした事、カブトキングとクイーンを捕獲した事。
オークキング達を下僕にした事。
エルフを数人保護した事。
「もうなんでもありだな。こうなってくると、お前を追放したバカ勇者に感謝と文句の両方を言いたくなるよ。」
難しいクエストを消化してくれたのでありがたい面と、こうして厄介事を持ってくる文句と……
「テイム的な何かと捉えても良いなら方法はあるぞ。一応従魔登録をすれば可能だ。魔物使いや調教師以外で許可を出すのは珍しい事ではあるが。」
公演としてのショーなんてものもあるので需要はあるのだろう。
単純に戦力としてだけの魔物というわけでもない。
「私は働き手としてかな。ぱぱんにも言うけど、森を開拓しようと思って。」
木を伐採しすぎると環境にも良くはないのだが、現状フラベル領を広げようと思えば森を開拓するのが一番早い。
現状西方無敵が外壁を建設しているさらに西の外側を開拓しようと、レティシアは考えていた。
その開拓をオークにやらせようと思っていた。
木を伐採して、整地して外壁を作って。
もっともそこで何をするかはまだ決めていない。
「じゃぁアルラウネ1人とカブトキング・クイーン1匹ずつとオークキング3人とオークジェネラル5人分お願い。」
「は?ちょっとマテ。そんなにいるとは聞いてないぞ。」
「(人数は)今言ったもの。そのうち酪農や稲作もやりたいのよね。土地と人材はいくらあっても足りないわ。」
「後で街の入り口で待ってろ。夕方までには用意させておく。到着したらレティシア一人でまずは報告に来い。」
「わかった。今後増える可能性もあるからその時はよろしくお願いします。」
一応頼む立場なので最後は敬語となった。
「もう、未開拓地へ行って一から街を作るレベルだな。」
「そうね、増築する方が実は難しいよね。主に外壁が余計……」
「後は領主の了承も得ておきな。住民が驚くから。」
レティシアは再び転移で自宅へと飛んだ。
「ねぇパパンお願いがあるの。」
執務室で仕事をしている父レオナルドの元へ着いたレティシアは猫なで声で尋ねていた。
「よし、パパンは何でも言う事聞いちゃうぞう。」
それで良いのかフラベル領主。
部下たちが聞いていたら口をあんぐりと開けていたに違いない。
「え?従魔登録をするから領内で生活出来る権利を魔物に与えて欲しい?う~ん。シアが大丈夫と判断したなら良いけど……」
そんな簡単に良いのかよとレティシアは心の中でツッコミを入れる。
「一応連れてきたら私にも会わせて欲しい。最終的な判断はこの目で見てから下す。まぁ反対はしないと思うがな。」
「多分大丈夫だよ。オークキング達は違反したらぷちゅんするって言っといたから。それに性欲は永続封印したし。」
もっとも、伴侶でも見つけて子が欲しいとかなった場合は、その夫婦間に対してだけ解除してやろうとは考えている。
「一応エルフの長に保護したけどどうするか確認してから戻ります。それと……」
カツカツと足音を立ててパパンの元に近寄るレティシア。
「パパン、ありがとう。」
レティシアから父にハグをした。
パパンはイチコロだった。
これでしばらくは執務頑張れると……
その様子をこっそりと扉を開けて覗いていた姉、イリスは微笑んでいた。
「やるわね、流石シア……さすしあ。」と。
転移でユーリ達の元に移動するレティシア。
目に入ったのは気絶から復活したラッテ達とユーリ、何故か二人一組になっているエルフとオーク達だった。
一人だけあぶれているエルフがいたけれど。
「レティシア様……このエルフと結婚する事を許して欲しい。」
一際大きなオークキングの彼が、一番小さいエルフの少女の横に立ち顔を真っ赤にして懇願してきた。
そこには他にもオークとエルフがそれぞれペアになって並んでいた。
恐らくはそのペアが夫婦になりたいとか言っている連中だろうとレティシアは判断する。
オーク8人エルフ9人。
強〇中にレティシアと目のあったエルフだけがあぶれていた。
「私はお姉さまと目線があった時からめろめろです。お姉さま以外は考えられません。」
「姫様、それはいけません。それでは純粋なエルフ王族の血が絶えてしまいます!」
仲間のエルフから声が上がる。
「あなた、一番乱れてたけど王族だったんかいっ。」
「そうです私が現エルフ族の王家最後の一人です。それと……エルフの男性は……その……」
もしかして何かに攻められ滅びたのか?とレティシアが考えていると。
「小さすぎてダメなんです。オークを知ってしまった我々はもう純粋なエルフには戻れません。」
それについては全員同感のようでしみじみと頷いていた。
「やっぱりあんたらはエロフだよ。エロフという新しい種族だよ。」
とりあえずレティシアは夫婦間のみの行為は認める事にした。
夫婦間のみ例の性欲封印は解除出来るようにした。
本当に便利な魔法である。
「性欲もコントロール出来るなんて……さすおねっ!」
さすおねが流行りつつあるフラベル領であった。
「それじゃぁ、エルフの長に事情を説明に行きますかね。」
5人とアルラウネ1人とエロフ9人とオーク8人のパーティはエロフの姫案内の元、長の元へと歩き始めた。
それと、さっきオークが喋っていた事を今更ながらに思い出していた。
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