第20話 ユータ達のその後①
これは、婚約破棄と3年前からの真実の愛とやらを告げてレティシアとユーリをダンジョン最奥に置いて行った後のユータ達の話。
ユータはレティシアが万能過ぎて自分達の見せ場も活躍所も存在意義も見いだせないからと、聖女であり婚約者であったレティシアに婚約破棄を言い渡した。
ショックを受けていたレティシアの表情を見た時のユータはほくそ笑んでいた。
ようやくあのレティシアから一本取ってやった。ざまぁみろと。
かつて幼少期は恋人同士にしか見えない二人であったのにも関わらず、どうしてここまでねじ曲がってしまったのだろうか。
そして実は3年前からアリシアとデキていた事、肉体関係も既にその頃からあった事を告げた時のレティシアの表情を見て、ユータは心の中で【スカっと爽やか、どうだ見たかざまぁみろ】と内心心が躍っていた。
二人をダンジョンに残し、パーティから追放した事でダンジョンから帰還後まずは冒険者ギルドに寄った。
「え?レティシアさんとユーリさんをリーダー権限及び勇者権限で除籍するですって?本気ですか?」
フォルセティ公爵領、領都でもある別名風の都とも呼ばれる「ウィンドリッパーロット」
公爵邸を除き、街の中心に位置する冒険者ギルドでは勇者であるユータによりパーティメンバー除籍の報告を行っていた。
受付嬢であるメリナは、その報告を受けて驚いていた。
メリナはレティシアとユーリが実力者である事を知っていた。
その理由はある一件で助けられたことがあるからなのだが、今はその話は置いておく。
彼女らの実力を知っているからこそ、ユータが除籍したという事を直ぐには信じられなかった。
「一応お聞きしますが、どのような理由で?我ら地方のギルド職員でも勇者パーティが来る魔族達との戦いのためにレベルアップを図っている事は周知しています。」
「真実の愛に目覚めた。いや、漸くその真実の愛を堂々と貫き通せる時が来たのだ。」
流石にレティシアが有能過ぎて、自分達が活躍出来ないのが悔しいとか情けないとかは言えなかった。
メリナは「はぁ?」と思わず口に出してしまいそうなのを飲み込んだ。
勇者と聖女が婚約を結んでいる事も周知している。
王家が公式に発表しているのだ。
もっともその前から、幼少の頃から両家では内々に婚約はしていたのだが、それも王家からの発表の際に聞いている。
ギルド職員はその辺の事情にも長けていないと務まらない。
個人情報も詰まった所で働いているのだから、いい加減な人間は採用されない。
規律を破った職員には相当な罰が降る。
その内容を聞かされて尚職員になるのだから、信用と信頼は確かなものがある。
「これは他言は許されないけど、婚約破棄も言い渡した。真実の愛、このアリシアと共に育むのだからね。」
そういってアリシアの肩を抱いて自分の方に寄せるユータ。
アリシアは「あんっ」と声を出すが、その様子は長年のバカップルのようにしか見えなかった。
「私もギルド職員ですから、個人情報は流出するような事はしません。しかしこれはある意味国家に関する事ではないかと具申します。」
「どういう事だ?王家が認めた婚約ではあるけれど、元はうちらの親同士が勝手に決めたものだ。結果的に魔族を、ひいては魔王を討伐すれば問題ないだろう。なんてったって俺は勇者なんだから。」
パーティメンバー強制除籍の決定権はリーダーにある。
勇者にはその権限を最たるものとして与えられてもいる。
王と教皇により、必要であればメンバーは入れ替えても構わないと。
「婚約の件に関しましては他言致しませんが、パーティ除籍に関しましてはギルド共通の情報として共有させていただきますよ。」
そしてユータ達は街で2日遊んだ後、ギルドが所有する転移陣を用いてユータの故郷へと転移する。
転移陣というのはお金さえ払えば誰でも使用出来る。
誰がいつ、どこに転移するかの記録は残されるが。
ただし、勇者特権で勇者パーティは1割負担で利用が可能である。
こうしてユータ達はベルンスト領都、「グリーンリバーライト」へと転移した。
街の西側にグリーンリバーという大きな川がるため、グリーンリバーの右にある街という意味で名付けられたとユータは聞いている。
大昔は小さな村であったが、発展して今の形になったのだけれど、街の成長に合わせて名称を変える事はしなかったようである。
自領へ戻ったユータ達は直ぐに領主邸には向かわなかった。
少しお高い宿を取り、そこで1日を過ごした。
忍者であるユーグはパーティ再編成のためにギルドへメンバー候補の調査をする事になっている。
そのため出かける前にユータに報告しようと部屋の扉をノックする。
返事は聞こえないが、いつも返事をするような人物ではない事を知っているためノックの後数秒経過してから「入るぞ」と言ってから部屋の扉を開けた。
ユーグの目に飛び込んできたのは……
仰向けに寝転がるユータの上に騎乗したアリシアの姿。
自身の身体を支えられないのかアリシアはうつ伏せになってユータに身体を預けている。
ユータが腰を上下に突き動かすと、アリシアからは艶やかな声が鳴り響き、やらしい汁音が部屋に木霊する。
「あ、ユーグごめん。こんな状況だからさ、新しいメンバー捜しはユーグに一任するよ。天職で優遇するなら回復系と盾系というのは以前言った通りだけど、人選は任せる。」
今はそれよりもアリシアとの行為が大事なんだからさと言いたげだった。
「候補は俺好みの女を加味しても文句は言うなよ?俺だってお前らの行為を見てたら相手が欲しくもなってくるんだからな。」
ユーグには決まった恋人や遊びの女性はいなかった。
しかし遠征中等、孤独を感じていた事は否めない。
普段性的に発散する時は専門の店に金を支払って買っていた。
「そのくらいは良いよ。暫くは新メンバー捜しがメインになるから。めぼしい人がいたら試験とばかりに一緒にダンジョンに潜るのもアリだと思ってる。」
直接行為をしているところに出くわしたのは初めてであったが、ユーグは見てしまった。それは……
アリシアのお尻には蒙古斑があった……
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後書きです。
ユータ達のその後でした。
一応、ユータはこの後父に婚約破棄とかを報告しに行きます。
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