四話目
俺は軽い足取りで軍事基地に帰ってきた。鼻歌交じりに集まった情報をまとめた紙を持って。あとは提出するだけ〜!
途中で同期にあった。
「楽しそうじゃん。どうした?」
「!!スミレちゃん聞いてや〜!!」
スミレちゃんは男だ。本名はカトリック・キャッター。まぁ、KC君と呼ばれてる。しかし、華奢で紫色が好きな男だからスミレちゃん。よく煙草吸ってて紫煙まみれだし。
「調査に協力してくれた女の子がなー超可愛かってん!!」
スミレちゃんは呆れたように溜め息をついた。
「あっそ。どうでもいいわ。」
「うわぁ〜ん酷いー!スミレちゃん!!!」
そう言いながらべーっと舌を出した。相変わらずやなぁ〜スミレちゃんは。
「んぉ?ビルちゃーん。おかえり。」
そう言ったのは部隊長だった。相変わらず煙草を加えてヘラヘラ笑っている。力なくふわふわ空を撫でる手。
「機嫌いいじゃぁん。なに?可愛い子いた?」
「ウフフそれがそうなんですよ。先輩お譲りありがとうございました。」
すると煙草をパタっと落とした。そして書記官に怒られるのを恐れて煙草を片脚で踏み潰しながら言った。
「えー!!!ずっるー!」
「えへへ。」
煽るように笑った。あー行って良かった。しっかし可哀想な子やったなぁー。
医務室に定期的に行く必要のある俺は車椅子を医務室に向けて漕いだ。
医務室には既に客がいた。黒く焦げた肌。筋肉質な体と満面の笑顔が輝いている。ブロンドの短髪と太い眉、青い空色の瞳。こいつは特攻部隊の隊長ダニイル・マックス。戦場での副司令官みたいな立ち回りの人。
「おーおー大丈夫かぁ!?ニコニコー!!心配してるんだぞ!!」
相変わらずの爆声。誰がニコニコだ。補佐官のスパロー・トニックが頭を抱えている。
「こーらダニイル病室では静かに!!」
フリッツがダニイルに注意した。すると豪快に笑いながら「すまんすまん!!」と笑った。静かにする気はないようだ。
「心配させて悪かったな。でももう大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃあないだろー!体は大事にしろよぉー?」
と。有り難い言葉ではあるがしかし煩い。顔を顰める。
フリッツは傷の様子を見て審査書を出した。あとはこれを書記官に出すだけ。
「てかさ、ニコライ。義足にする気はないのかな?」
義足…か。
「今の所ないかも。」
「そっか…。ならいいんだよ!!さぁ帰った帰った。混んじまうよ!またね!」
と無理矢理医務室から追い出された。義足か…。考えてもみなかった。
総統室につくと総統は魔王の如くそこに居座っていた。恐ろしい。そうも思ったが山のような書類とやりかけの書類とペン。きっと諦めたのだろう。その怠惰さと弱みが魔王感を掻き消した。こりゃ書記官にまた怒られてまうなぁ。そう苦笑しながら情報書を総統に出した。部隊長に渡す前にコピーした。コピーを忘れると厄介なことになるから念入りに…。前科があるこの身に叩き込んだ。あんな思い二度とごめんやで…。
「ほう。いい情報ではないか。褒美をやる。よくやってくれたビル。しかしー頼んだのは、クライにだったと思うが……。後で呼び出そう。」
ご愁傷様です、部隊長。俺は成功した喜びと褒められた喜びで胸がはちきれそうだった。
今日最高な日やなぁ〜。
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