冷たい未来


私は今まで起こった事を出来るだけ詳しくミクに説明した。


『な、なるほど。かなり信じ難いけど…本当のようですね』


「信じて貰えるんですか?」


『……まぁ。何となく、嘘はついてない様子だし』


「良かった」


『何言ってるの?全然良くないわ!こっちの世界はめちゃくちゃだって言ったのを忘れたんですの?』


「す、すみません……でも」


『でも?』


「私の出す論文には未来を大きく変えるほどの大それた事は書けません」


暫く沈黙があってから、ミクは


『もしかすると、あなたの現状が原因かもしれません』


少し考え込んだ声が響く。


「現状?」


『いま、あなたはそちらの世界の価値観では成功者という事になるわね?』


「ま、まぁ……そう、言えなくもないです」


『別に褒めてないので、照れる必要もないわ』


「す、すみません」


今回のミクは少し冷たい。


『つまりね、成功しなければ、未来を変えるほどの何かを残し得たかも知れないって事』

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