家庭内踏切

リビングの屋根を切り裂く遮断機

僕らの悲しみが通るたびに

赤く光るランプと

天へと突きぬける音で

踏切は交流を断っていた


君がいなくなってからも遮断機は下りる

踏切は二人の距離を知らない

僕ひとりの部屋で繰り返される

光って鳴って下りて上がって

静かになって

君との間にはまだ列車が走っているのだ


僕の部屋に新しい人が来て

その彼女も踏切に足止めされて

気にしないとか我慢するとか

やさしさは猶予をもたらすけれど

でもやっぱりうまくいかなくて

結局一人で光るランプを眺める


ああ君は

大切だった

不思議なくらい

大切だった


三日間遮断機が下りなかった

君は悲しまなくなったのか

それとも君でなくなったのか

思い出に鍵をかける準備をした頃

赤い光が点滅し始めた

切り裂け

何度でも切り裂け

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