▶それを見つめるあたしがいる
忘れられない怒りを
まだ覚えている
たった一度の裏切りが
なんだと言うのだろう
十年前のことなのだから、
もう大人になったのだから、
いい加減 許したらいいのに
他人事のように
己の怒りを見つめるあたしがいる
裏切ったのはあの人
裏切られたのはあの人の大切な人
あたしは裏切ったとすら
思われていない
あの人にとってあたしは
ただの通過点
裏切りにあふれた世界にいるのだから
裏切ったとすら思われていないのだから
いい加減 許せばいいのに
誰かの悲劇を
自分事のようにしてしまう
己の浅ましさすら、
他人事のように見つめるあたしがいる
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