▶淋しさとともに凍りつく

白く白く、世界を染めあげる


雪がごうごうと吹雪を渦巻く


北の夜は訪れが早く


午後三時は夕方色に


午後五時は夜の闇に塗り上げられる



だだっ広いラウンジに


ひとつの人影が窓辺に寄りかかる


静寂が空席を埋め尽くし


冷気が息を白くさせる



孤島のような淋しさを


その指先にまとって


凍った睫毛を伏せて、目を閉じる



叶うのなら


ほんの少しの温もりを


小さな灯火を


この冷たい身体に宿してくれ、と



そんなことを 願っていた


もうすぐ閉じる世界の端っこで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る