第62話 素直にストレス 2

目と口よりも素直なのはどこか。いきなり机動かしたから何事かと思われてるな。時間割に合わせて生活するのがルーティーンになってたから今日もふんわりとした朝がやってくるのを待ち伏せして校門まで連れてきた。最初の数百メートルは誰にも会わないけど途中で自転車の人とすれ違うのにも慣れてきた。君と席が離れるのも当たり前だ。「おはよう青井さん」ってちゃんと言ってくれる。自転車の音がしたらおはようって言っても間に合わないかも。「朝結構よく見かける」と話してる同じクラスの活発な部活の女子の話を聞いてたりしてないか。12歳のときにいっきに年をとった感じがしていた。いっぱい新しい本を読んで読む本がなくなったから大人の本を読んでいた。誰も信じてはいけない状況だから余計なこと話さないように本でバリアを張っていた。知識に囲まれ塔の上に押しやられた姫君ではないけど本の山の上に寝そべってるのは否定しないわ。本の表紙は冷たくって枕にいいかもと撫でる。無機物を愛でてる私の横で同じく無機物を眺めてはしゃいでる君と友達。小さい箱に閉じ込められた秒針が鳴る速さに追いつけない。席が替って受けた授業は先生が「席替えしたんか」ときいてきただけ。くるくるする髪の毛の先もとからくせ毛なのに暇だと手が髪の毛を触りはじめる。髪の短い君の場合はどこを触るのかな。手か耳かな。足を組んで組み替えたり椅子の足を後ろから蹴ったり愛情表現の仕方が多様すぎる。ストレッサーが凹んでもまたもとに戻るからいじめられても空は青い。よくあることで悩むなんて時間がもったいない違う方に目を向けよう。同じ絵ばかり描いていても君の顔は描けないよ。新しい机は少し高い位置にあった君の方がぴったりだ。綺麗な思い出にしてしまおう失くさないようにポケットに入れて持っていよう。いつまでも応えないならアプローチする意味がないじゃないか。諦める気もさらさらないけど次に行くまで保留にされるのは何だかとっても癪に触るので。もしもいつかがあったのなら出会いなおしてみたいな。どこにいても見つけられるかな。絵本の探すやつより簡単だ。どんな姿になっててもきっと私は君を見つける。待たされる方は待たせる方よりストレス溜まるくらいやきもきするんだ。しびれ切らして別の方角に歩いていってしまう前に引き留めてよ。ミントスの風が吹いた口の中が爽やかになって思ったよりなんとかなってしまいそうだ。

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