第7話

ティロリティロリ

ここはそうマックだ

なぜマックにいるかというと

遡ること15分前…


「すみませんおまたせしました!!

お詫びなのでどこの店がいいか決めてください!!」

「いやそんなことわざわざ…」

「あなたがよくても僕が良くないので!!」

「…どこでもいいっす」

「じゃあお向かいのカフェでいいですか??」

なんでカフェで水をかけられそのお詫びに向かいのカフェに行かなきゃいけないんだ

だったらお前が働いているカフェでいいだろ

何が楽しくてカフェをはしごするんだよ

流石にそんなこと言えるわけもなく

「あ…やっぱりマックでお願いします」

咄嗟に出てくる店がマックなんて

かずきと同じじゃねぇか


そして今に至る

さっきから目の前のバーガーを見つめているだけで

お互いに何の言葉も発しない

耐久レースでもしてるのか俺たちは

ついにこの空気に耐えられなくなったのか派手髪が口を開いた

「本当にすみませんでした…わざとじゃないんです」

わざと見知らぬ人に水をかけるやつがどこにいる

「謝ったって服が乾くわけでもないしなかったことにならないとはわかってるんです」

そうだ謝られたところで何も変わらない

そもそも俺ははなから怒ってなどいない

ただ早く帰らして欲しいだけだ

「あ…食べながら聞いてもらえれば大丈夫です」

お前このタイミングでそれ言うか??

「あ…どうも…」

コミュ障同士の会話かってぐらいキャッチボールが続かない

なんか俺まで申し訳なくなってきた

「あの…俺全然大丈夫なので」

「え??」

「そもそも最初っから怒ってないですし」

「ほ、ほんとですか⁉」

なんだこいつなんで急に元気になったんだ??

「え??あぁ…はい」

「なんだ〜良かった…ありがとうございます!!

本当に怒ってないんですよね!?」

「はい全く…」

「怒られなくて良かった〜

俺も水かけられると思ってタオルまで持ってきたのに…

あっ俺もハンバーガー食べていいですか??

いただきまーす!!」

!!???!?

俺は今目の前で何が起こっているのか

まったくもって理解できなかった

ポジティブの塊みてぇなやつだ

そして怖い物知らず

俺じゃなかったら殴られても文句は言えないだろう

「そういえばまだお名前聞いてなかったですよね

教えてください!!」

やばい完全に圧倒されて帰るタイミングを見失った

「八雲です…」

「下の名前は??」

「優琉…」

「やっぱり〜??そうだと思ったぁ」

やっぱり??やっぱりってなんだ??


このときの俺はまだ気がついていなかった

目の前のやつに気を取られて帰るタイミングを見失い全く外を見ていなかったことがこの後何を引き起こすのか






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