ネコの詩

詩川貴彦

第1話 シャムシャム・シャムシャム

「シャムシャム・シャムシャム」


 シャムは痛くてなきました

 怖くて寒くてなきました

 お腹がすいてなきました

 冷たい雨になりました


 秋の日暮れのことでした

 小さなシャムに遇いました

 そっと両手にのせました

 かなしい根雪のようでした


 「シャムは寒いの?」

 「さむいの」


 部屋の灯りの中でした

 シャムはムシャムシャたべました

 大きなケガがありました

 シャムは手術になりました


 「シャムは生きたいの?」

 「いきたいの」


 冬の晴れ間の午後でした

 シャムを迎えにいきました

 シャムをお部屋に入れました

 毛布の上にのりました


 「シャムはここで暮らすの?」

 「くらすの」


  シャムはグーグーいいました

  おひげがそよそよゆれました




追記

 こうしてうちのネコになったシャムは4歳の太りネコになりました。子犬のように、人間をペロペロするので「イヌオ」という名前になりました。とても元気で幸せそうに毎日ゴロゴロしています。とても優しいので、見ず知らずの子猫の面倒を見ています。シッターとして、どんなに嚙まれてもがまんしていますが、ときどきたまりかねて「にゃーにゃー」と子猫たちに説教をしています。

 ちなみに、手術と二週間の入院で、私のへそくりはすべて消えました(泣)が、イヌオが助かって本当に良かったと思っています。

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