家事も家族そろって
そうして午後からは、また、風呂を沸かし始める。桶に溜まった雨水も足してな。
これでまあ、明日くらいまでは水を汲んでこなくても入れるだろ。
で、湯を沸かしてる間はまた草刈りをしてもらい、俺は鉄を打ちつつ時々様子を見るために外に出て、そのたびにでかい鍋の湯を風呂に流し込み、風呂の水をでかい鍋に汲んでまた沸かす。
さすがに何度もやってるとだんだん要領が掴めてきてスムーズにできるようになってきたな。しかも、トーイも勝手なことをせずに自分にできることだけをやってくれてる。今はまだそれでいい。本人がやりたがってることを頭ごなしに怒鳴りつけてやめさせる必要はないが、言い方ってもんもあるし、何より明らかに取り返しのつかないことになる可能性の高い危険なことをやらせんのはさすがに違うと思うんだよ。
だから、本人がやりたがってることの中で、まあ失敗しても大人が二度手間を掛ける程度で済むことについてはやってもらったらいいと思うんだ。そこで『二度手間になるからやらせない』ってのは、むしろ大人の側の甘えだしな。
とは言え、前世じゃ『三歳の子供に湯を沸かさせる』ってのも、とてもさせられなかったけどよ。でも、トーイは、本人が危なげなく持てる程度の鍋ならちゃんと扱ってくれる。だから任せられる。これが危なっかしい感じだったら、さすがにやらせねえよ。
だからでかい鍋は触らせない。それだけの話だ。
こうして、日が傾き始めた頃にはまた、いい感じに風呂が沸いた。
ちなみに、リーネとトーイが集めてくれた薪はまだ湿ってるから、乾かすために家の裏手の物置に保管してある。その小屋は、炉の余熱でいつも暑く、乾燥してるんだ。で、乾いたらそれを使うわけだな。
まあそれはそれとして、今日も風呂だ!
リーネもトーイも、俺が何も言わなくてもさっさと素っ裸になってた。よっぽど気に入ったんだな。
俺も服を脱いで、三人で入る。
まだ湯は泥で濁ってるが、もう別にそれでいいって気がしてきてる。なんか、泥が体の汚れも吸着してくれるのか、上がってからぬるい水で流すとすごくさっぱりするしよ。
で、風呂の後は、三人で裸のままで、洗濯桶に服を放り込んで風呂の湯を流し込んで、足で踏みつけて洗ったんだ。
それがまた楽しくて。
「おー!」
「あはは♡」
「うんしょ、うんしょ!」
俺とリーネが声を上げると、トーイも調子を合わせてくれて。
そうだな。こうやって家事も家族そろって<遊び>としてやれば楽しいよな。
前世でも、女房やゆかりとこうやって遊んでやればよかったと思う。
……前世の俺がそんなこと思い付くはずもないけどな。
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