第21話 思い出の場所で・・(小説風)

亡くなった父と二人 此処に来て 気がつけば十数年の歳月

海の近くがいい、新緑の木々に花々があるといい 亡くなった父はそう言った


近隣の綺麗な風景 父とよく行った場所には 

白糸の滝に 二見ヶ浦 海辺の大きな岩二つにしめ縄が飾られている 

それに山々を見渡す風景がある 雷山の山並み 

珍しいハマボウの花々 甘い、甘やかな苺 あまおう

父と行く事が何故か出来なかった糸島の牡蠣小屋  古代の時代、伊都国と呼ばれた場所


懐かしい沢山の想い出の記憶の数々は とても色鮮やかで

 

病で壊れゆく己が身体にはどれも眩い


祖父母たちが眠る博多の地に太宰府の地

歴史ある高名な仏閣もいずれも素晴らしく、故郷の想い出 先祖の地

令和の時代よりも昔々の福岡市の出来事に 北九州市の小倉では漫画の会での交流


そうして今度は叔母たちとの想い出が走馬灯のように思い出す

あの時に今は懐かしい記憶の中にある その光景を私達は見ていた。

綺麗な糸島(前原)の海辺の道に緑溢れた山間部 そう


それは 自宅からの近場 福岡の隣接 綺麗な糸島の風景の中を車で走り抜けて

父や叔母たちと佐賀の観光地を廻り、楽しんだ あの春の日々での出来事だった。


あの束の間、追憶と言える思い出の中、春の日々の中にある懐かしい光景

綺麗な糸島の海の道を抜けて 山間の道 

それから車は目的地へと風の音を聞きながら走り去る


茜の色に染まった段々畑、棚畑

そこでアマチュアのカメラマンでもある叔母たちは

カメラを忘れた事をとても、悔しがっていたのだ。


素晴らしく綺麗な風景なので、この時期になるとアマチュアカメラマンたちも

集まり、次々とカメラのシャッター音が響く、響かせていたのだった。


ひとしきり、夕焼けの中でその光景を見とれつつ眺め終えては

黄昏は 今度は夜の闇色の中へと色を染め変えてゆく


やがては集まっていた群衆、カメラマンたちも潮が引くように立ち去って消えていった。

肌に感じるのは夜風、さやさやと草木が揺れて

やや肌寒い夜風を感じ始めて車に戻る。



佐賀の武雄市にある古代の歴史、武雄温泉に御船山楽園、唐津の呼子

長崎県も廻りながらの観光ドライブの途中で楽しんだ。 

糸島の海沿いの道、時間をかけてのドライブ

花々が咲き乱れる異国風のハウステンボスにもよく訪れた 長崎の海、グラバー邸宅


唐津の山に・・それに古墳の公園に 佐賀のファミレスに海辺などのレストラン 温泉にもゆるりと浸かった記憶


山間にあった沢山のツツジの花々の木々、その群生の公園 

笑いながら談話を楽しみ、山道を叔母たちと歩く 

牡丹の花々 あれは・・何処だったか?


茜の色に染まった段々畑、棚畑の風景


既に父も居ない、叔母の一人も亡くなった。


病を得て、パーキンソン病の為に今度からは 私は歩行器の世話になる。

震えが増えて、両足だけでなく、左手の人差し指も途中までしか曲がらない


痺れに痛み・・壊れゆくもの、病には抗えず それよりも‥

財布の小銭を数えてみては 細やかな豊かさも夢見てテレビで見る豪華な料理に

羨望をしてみたりする


「TV番組の宿の豪華盛り合わせ料理 温泉もいいな」

「悪夢のように出費・・日用品・・」ぼやいてみては、ため息一つ


ドライブでの心地よい風を感じる旅

もう、あり得ないだろうから・・・・


懐かしい優しい追憶の欠片

思い出の詰まった車も無く、今は昔の話である


市からの包括の障害者支援から来る

週に一度、明るく朗らかな訪問介護士のヘルパーさんか買い物

私は近隣での店など杖を使っての買い物など 

明るいもう一人ヘルパーさんは一時間のお掃除などの世話事

 

それぞれ規定内の御仕事となる 私自身 電球などは自分一人では交換出来ない事も多い

ヘルパーさんはおもに年配者の世話事、介護もされているとの事 

市からの保護サービスで約定は自立支援


逢いに来てくれた

久しぶりに会った関東の優しい友人との食事 次は来年かもっと先かも


想い出はいつも綺麗なままで 父たちとの想い出の数々

楽しい旅でのレストランの食事の味 あの日、空の青から紅色に染まった棚畑

青空の中にあった山の緑、プロペラの道 走りゆく道の車、風の爽快感・・


それは・・・

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