10.じゃあ、そろそろ世界とか

 メタルヨロイは改めて思う。エグゼキューターは命の恩人だ。だから、その恩には報いなければならない。

 この身体も、きっとそのために作られた。今だなお、危険を愛してやまない彼女を護るために。


「いや、違うね。アタシはそんな理由でメタルヨロイを創作つくったんじゃない」


 お前の考えなどお見通しだと言わんばかりに、エグゼキューターは笑った。


「伊坂は自分で気が付いてないだけで、本当はヒーローなんだよ。だって、アタシみたいなどうしようもないヤツだって救えたんだから。その気になれば世界だって簡単に救っちゃえるんだ。アタシは、それに相応しい体を創作つくった。ただそれだけのこと」


 エグゼキューターはゆっくりと立ち上がった。足がガタガタと震えている。一部を機械換装しているとはいえ、中身はまだ人間の部品の方が多い。連戦に次ぐ連戦、疲労の蓄積はピークに達している。


 それでも彼女は楽しそうに笑う。


「じゃあ、そろそろ……救ってみますか? 世界とか?」


 ――いつもこうだ、とメタルヨロイは思った。

 いつも無茶ばかりで、一秒後には何をしでかすか分からない。


『なんでもいいよ。早く終わらせてウチに帰ろうぜ』


 世界よりよっぽど危なっかしくて、目が離せなくて。

 だからいつも放っておけないのだと、メタルヨロイは心の底からそう思った。







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