第3話 応接室②
警察の応接室。強い雨は降り続いている。
新堂「……確かに、アナタのおっしゃることが本当なら興味はあります」
田富「本当なら、ですか」
新堂「仮に爆発事件が起こるまでの小屋の中の様子がその文書に書かれているとして、それが本物だという証拠は?」
田富「文書の中で犯人を名乗る人物の筆跡鑑定をしてもらえれば、本人だということが分かるはずです。おそらく指紋も残っているでしょう」
新堂「なるほど……。あなたはそれをどこで?」
田富「それは明かせません。これでも一応ジャーナリストの端くれですからね」
新堂「今、拝見しても?」
田富「ええ、ただ、念のため手袋をしていただけますか?指紋の件もありますしね」
新堂「……分かりました」
手袋を付け、封筒の中身を取り出す新堂。
新堂「随分、量があるみたいですね」
田富「ええ。読んでいただければ分かると思いますが、当事者たちのやりとりや心情の動きなどまで事細かに描写されていますので」
1ページ目を見て驚いた顔をする新堂
新堂「これは……そういうことでしたか」
田富「驚いたでしょう?」
新堂「さっきから気になってはいたんです。あなたの物言いが。私は最初に【犯人】と聞いた時、行方不明になっている5人以外に別の人物が関与している可能性を考えていたんですが……」
田富「ええ、私の話を聞けば普通はそう考えるはずです」
新堂「最初からあなたは事件の犯人が、我々の知っている人物であるという前提で話をしていましたね?」
田富「はい。だって警察が知らないはずがありませんからね。あの事件の犯人は、爆死したと思われる5人の中にいたのですから」
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