第25話 転換
4/23 水曜日
今日は大きなニュースがある。
『櫓のゴブリン達との平和協定』だ。
まだ暫定的だが、プレイヤーとモンスターが協定を結ぶなんて前代未聞であり、反対意見も出たようだがユウトが説得して回ったらしい。
ま、今の俺は北の山脈を狩り場にしているから関係ねえけどな。
「ぬるぽさん。待ったか?」
「いや、今来たところだよ。それじゃ行こうか」
荒地に来たところで
「ちょっといいかな。新しいソウコウゴブリン達の試験をしたい」
「どうぞ」
ぬるぽさんが召喚したのは2体のソウコウゴブリンだった。
No.3は大柄なソウコウゴブリンで、右腕の腕輪か細長い石が三節棍のように垂れている。
No.4は小柄なソウコウゴブリンで、両腕の腕輪にメリケンサックのような石が付いている。
大柄な方は距離を取る戦い方をし、小柄な方は懐に入り込む戦い方をした。
蜘蛛型ゴーレムと遭遇した。
No.1とNo.3が壁となりNo.4が陽動し、俺がとどめを刺した。
やはり役割を決めて囲むとこんなもんか。
昨日作った拠点に来た。
…のだが、様子がおかしい。
「誰かいる」
「やはりそうか」
誰かがいるのは洞窟の奥だ。
今日探索する予定で、昨日は少し入って危険が無いことを確認しただけだ。
「…行くか」
「そうしよう」
ぬるぽさんはソウコウゴブリンNo.3とNo.4を魔石に戻し、No.1にランタンを持たせて前を行かせた。
しばらく行くと吹き抜けた場所に出た。案外長かったな。
そこはまるで氷の神殿のようだった。
青々と透き通った巨大な氷は、はるか高みの青天の光を反射して吹き抜け全体を明るく照らしている。
そして向こうには倒れている4人の人間と…
「まったく、今日は来客の多い日ですね」
無表情でこちらを睨む青年だ。
髪は青っぽい輝く銀のストレート。瞳は空色。
肌は病的に白く、額には大きな魔石が埋め込まれている。
「ゴーレムか」
「低能なゴーレムなんかと一緒にしないでください。
僕の名前はアイソンです」
文章は怒っていても、口調も表情も無感情なのでとても不気味だ。
するとソウコウゴブリンNo.1が突っ込んで行った。
「待て!」
「貴方達もですか」
アイソンは持っていた氷のロングソードで切り払った。
ロングソードに付いた血は、すぐに水と残り滓に分解された。
なるほど、血で刃が鈍ることは無いのか。
そしてアイソンが分解した水に触れると、そこから氷の投げナイフが出現した。
俺は装備した小太刀で弾く。
アリソンはナイフを投げると同時に駆けてきていた。
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