第22話 休日

「よっしゃ~今日は久しぶりの休みだ。しかも卑弥呼様と二人きりだし」


「久しぶりの休みですねー。最近は無駄に忙しかったですからここいらで休まないと……おっと、それ以上近づいたら舌噛み切りますよ」


「なんでだよ。どんだけ警戒心強いんだよ。ガッチガチに警戒してるじゃねえか。野良猫でももうちょい心開いてくれるんじゃね? 艱難辛苦を共に乗り越えた仲なんだひ、いい加減少しは信用してくれよ」


「いえ。噛み切るのはあなたのです」


「強かったのは闘争心だった」


「艱難辛苦ってほどのことをしてないでしょうに。まあ、あなたのようなクズニートと一緒にいるのは、それは辛くて苦しくて耐え難かった日々ですけど」


「そんなに嫌われてるのかよ俺。長年連れ添った妻に吐かれたら生きていけない台詞だな」


「良かったじゃないですか。そんな台詞何度生まれ変わろうとも今この瞬間しか言って貰える機会ありませんよ。おめでとうございます」


「ありがとう! これで思い残すことはないよ。っておい、んなわけないだろ。なんで永遠に独身ってことになっているんだ。いつかは結婚してくれる幼女だって見つかるだろ。いや見つけて見せる」


「見つかりませんよ。見つけさせませんよ。いくら検索したところでヒットゼロです。打率ゼロです。永遠のゼロです」


「永遠のゼロは卑弥呼様のその胸――卑弥呼パンチ!


「ぐほぁ! なにしやがんだ!」


「茶番はこのくらいにしといて話を戻しますけど、確かにこの場に二人しかいないというのは久しぶりですね。思い返すと最初の頃はお互いボケとツッコミにキレがありましたよ。やり取りが新鮮でよかったですけど、最近はこうなあなあな感じになっているというか、マンネリ気味というか、通り一辺倒になっている気がします。そういうわけですので、初心に返ってみましょう」


『タイ○風呂敷~』


「初心とはこれいかに。絶対許可出てないだろ」


「気にしない気にしない。それでは初顔合わせの日まで……そーれ!」


「おい、なんだこれ、あわわ」



 なんだこの可愛らしいおてては――

 ん? あれ? 体が小さくなってるぞ?


「ぐふふ……」


「おい……お前……やったな」


「はわわ。なんて可愛らしいのでしょうか。つい設定を間違えてしまい、なんと瑞々みずみずしい少年ショタ時代まで戻しちゃいました。なんですか? その目は。事故ですよ事故。アクシデントです。……はぁ~美味しそう……。だから、なんですか? その目は。そんな目で見つめないでください。興奮するじゃないか……♡」


「ひぃ。お尻がきゅーってなった。天空闘技場の時のゴンの気持ちが今になってわかったわ」


「私も天空闘技場の時のヒソカの気持ちが痛いほどわかります。こんな目で熱く見つめられた日には……じゅるり」


「そこまでにしとけ。つかそのタイ○風呂敷って卑弥呼様にも使えんだろ?」


「ええまあ。でもやめてくださいよ。昔を見られるなんて真っ平ごめんですからね。って何にじり寄ってきてるんですか……辞めてくださいよ。フリじゃないですから」


「今の俺と同い年まで、卑弥呼様も戻れ~……ってまさかの変わらず」


「くっ……よくもこのような仕打ちをしてくれましたねこの男は。どんな罰を与えてくれようか」


「ついうっかり手が滑ったんだ。アクシデントだ。情状酌量を認めてくれよ。それにもう死んでるんだから罰は受けてるだろ」


「それもそうですね。では茶番はこのくらいにして私は休みを満喫させていただきますよ」


「ほーい」


 しかし卑弥呼っていったい何歳なんだ?

 タイ○風呂敷で若返らせたはずが大して変わらなかったし。

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